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「マジョリティの意識の壁」を破ることで、渋谷を新しくする

渋谷区長 長谷部健氏に聞く

聞き手:黒田隆明【2016.11.1】

子どもたちが自分たちの責任で自由に遊べる公園「渋谷はるのおがわプレーパーク」、街をキャンパスに見立てた学びの場「シブヤ大学」など、区長就任以前から、長谷部氏は新しい視点で渋谷のまちづくりに取り組んできた。今、渋谷駅周辺は大規模開発によって大きな変貌をとげようとしている。しかし、ハード整備だけでは、都市は活性化しない。今回、長谷部区長には、ソフト面を中心に、渋谷のまちづくりに民間の力をどのように生かしていこうと考えているのかを聞いた。

(写真:加藤康)
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――東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、東京の街は大きく変わっていきそうです。渋谷駅前エリアの大規模な開発プロジェクトは2027年の完成ですが、2020年の段階でも新しい姿がかなり見られそうです。渋谷区としては、2020年に向けてどのような取り組みを考えていますか。

 いくつもあるのですが、まずはパラアスリートの応援を、分かりやすい形で進めていこうと思っています。東京大会では、渋谷区は3種目(卓球、バドミントン、ウィルチェアラグビー)の会場ですから、ぜひ盛り上げていきたいです。

 競技を実際に見ると、みんな変わると思うんです。「面白いな」とか「すごいな」とか。僕がパラリンピックに期待しているのは、「手を差し伸べる」という今までの文脈から、「一緒に交わる対象だ」というふうに、障害者に対する考え方の変化をもたらすことです。

 パラリンピックを見るということ、パラアスリートに触れるということは、頭で分かるだけでなく意識が変わる大きなチャンスなので、そういった機会をたくさんつくっていこうと思っています。

 障害者にもいろいろな人がいます。よく食べる人もいればあまり食べない人もいる、いい人もいれば悪い人もいる。健常者と同じです。これは区議会議員時代にLGBT(性的マイノリティー)の人たちに「パートナーシップ証明書」を発行することなどを盛り込んだ条例(渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例)をつくろうとしている時にも思ったのですが、結局、マイノリティの問題ではないんですよ。マジョリティが意識の壁を破ることこそが求められているんです。

――具体的には、パラリンピック関連ではどのような取り組みをしていますか。

 渋谷区はウィルチェアラグビーに練習場所を提供していますが、彼らは練習場所にとても困っていたんです。卓球とバドミントンは何とかなっていたようなので、ウィルチェアラグビーの日本代表チームに体育館を開放して練習をしてもらいました。そこに子どもたちや地域の人に来てもらって、プレーを見てもらったり、ふれあう時間をつくったりということを積極的にやってきました。区としてリオ大会の壮行会を開催したりもしています。

 もう一つ、パラリンピックだけと関連しているわけではありませんが、意識を変えるということでいうと、「超福祉展」というイベントを毎年行っています(2016年は11月8日~14日に開催)。デザイン性の高い福祉機器の展示や講演など、企業と組みながらいろいろなことができる“箱”なので、このイベントはもっと充実させていきたいと思っています。

 僕は、法律や条例を制定するだけでは街の空気は変わらないと思っています。障害者差別解消法には、当然、大賛成です。でも、その理念を実現していく空気をどうつくるのかということが、とても大事だと考えています。渋谷が持っているアドバンテージとしては、例えばファッションと組んで少し価値を転換できます。かっこいいとかクールとか、そういったキーワードで変換できるじゃないですか。例えば、ショーウィンドーに車いすと片腕のない人のマネキンがあっていいと思いますし――。ほかにも、渋谷らしく意識を変えていくチャンスをつくるやり方として、パレードをしたりするという方法もあります。

――渋谷区のブランドを高めることにもつながりそうです。

 ブランドを高めようという気持ちよりも、シティプライドを醸成しようという気持ちの方が僕は強いですね。

――確かに、LGBTや障害者と一緒にやっていこうとしている街は、やっぱり住んでいる人たちにとっても――。

 誇りになりますよね。

――シティプライドの醸成は、遠回りのようで街の活力を高める近道なのかもしれません。

 駅の開発などで全面的にどんどん景色が変わっていって、街が新しくなるということは、多分そんなに何度もあることではありません。けれど、何か目に見えない変化は起こし続けていかなければいけない。「マジョリティの意識の壁を破る」というのはそういうことですよね。そのことはいつも考えています。

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