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健康のまちづくりには、総花的にならない“軸”が必要

「健康寿命延伸」で企業も巻き込む――菅谷昭松本市長に聞く

井上俊明【2017.9.5】

――2015年の国勢調査の結果、松本市は県内に19ある市の中で唯一、人口が増えました。その理由をどう見ていますか。

 私自身、この結果にはびっくりしました。県庁所在地の長野市や上田市が数千人減っている中での人口増ですからね。市長の集まりの際にも、「どうして松本は人口が増えるのか」と聞かれました。わずか256人の増加ですが、減少傾向に歯止めがかかって上昇に転じただけでもうれしいものです。

 人口増の理由については、担当課に分析させていますが、私としてはこれまでの総合的な施策が実を結んできたのかなと考えています。例えば、先に挙げた6つの健康のうち「生活の健康」に子育て支援を含め、妊娠前から学童期まで継ぎ目のないバックアップを実施。予防接種ひとつ取っても、法定でない任意の接種にも補助金を出しています。松本は人口が多いから財政的には大変なのですが、子育てしやすいまちだと分かると、「もう1人子供を生もう」と思ってくれるでしょうから。

 実際、市の調査では、「松本市は子供を育てやすいまちだと思う」人は90%を超えています。ちなみに2015年度の市民満足度調査では暮らしの満足度は91.5%、定住の意向は82.2%といずれも高い割合となっています。まずは住みついてもらうことが肝心です。

特徴を打ち出しブレない

――健康寿命の延伸については、何かデータがありますか。

 厚生労働省の指針をもとに市が計算した結果、2005年に女性82.83歳、男性78.57歳だった健康寿命は2013年にはそれぞれ84.21歳、79.51歳と緩やかに延びてきています。一つひとつは地味ですが、様々な取り組みを一歩ずつ積み重ねた成果ではないでしょうか。

松本市民の健康寿命は緩やかに上昇している(資料:松本市)
[画像のクリックで拡大表示]

――2013年に「健康寿命延伸都市宣言」をされましたが、これは市議会からの要請だったそうですね。

 3期務めた前の市長のあとに、行政の素人である私が当選したのですから議員さんたちも面食らったことでしょう。私は前市長の長所も取り入れながら、少しずつ健康寿命延伸都市づくりを進めてきました。議会との関係はうまくいっています。

 もちろん、「健康や医療に熱心に取り組んでくれるのはいいけど、経済活性化や産業対策もやってほしい」という声はありました。私は、「まず、健康寿命延伸の施策を先に取り組ませてほしい」と説得しました。松本ヘルス・ラボの設立で産業振興にもつながって、人口も増加に転じている。それで施策に対する市民の理解も進んできたと思います。やはり結果を出さないと住民はなかなか認めてくれませんね。

――「健康」を切り口にまちづくりをしている自治体は結構ありますが、うまくいっているところばかりではないようです。

 冒頭で申し上げたように、私は1期目に3K、2期目以降は健康寿命延伸という市政運営の旗印を掲げました。総花的に健康づくりに取り組むのではなく、こうした「芯」や「軸」を打ち出してそこからブレずにやっていくことが大切だと思います。あと、国からのお金を頼りにせず、自立した姿勢を見せることですね。もちろん頑張っている自治体には補助金などを手厚くしてもらえるとうれしいですが。今後も気を緩めず、様々な意見を参考にしながら地道に謙虚に市政のかじ取りをしていくしかないと思っています。

菅谷昭(すげのや・あきら)
松本市長
菅谷昭(すげのや・あきら) 1943年長野県千曲市生まれ。信州大学医学部卒業。信州大学医学部第2外科助教授などを経て、1996年からベラルーシ共和国でチェルノブイリ原発事故の医療支援活動に従事。2002年長野県衛生部長に就任。2004年松本市長に初当選。現在4期目
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