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市長になったのは、「本のまちづくり」を実現するため

本をテーマに市のブランドを構築――明石市長 泉房穂氏に聞く

真部 保良=日経アーキテクチュア【2017.7.31】

「明石で高く売る自信ない」と漏らすデベロッパーを一喝

――再開発街区内には大型マンションも建ちました。市外からの人口流入を促す格好の機会でしたね。事業者とはどのようなやりとりをしましたか。

明石駅前の再開発街区(写真:日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]

 デベロッパーは大手でした。市長になって2、3年目だったと思いますが、市役所に来てもらって話をしました。言われたのは「市長には申し訳ないけれど、地方都市でうちのブランドそのままの値段設定では売り切る自信がない。住戸面積を狭くして安くしようと思っている」ということです。それで私は頭にきたのです。「明石をなめるな。もっと高くしろ。明石はもっといいまちだ」と言い返しました。するとデベロッパーからは、こう言われました。「普通は市長から、市民が買える値段まで落としてくれと言われるのに、『値段をつり上げろ』と言われたのは初めてだ」と。

 まちのシンボルとなるような駅前のタワーマンションで、楽をして売りさばくために安値をつけるという発想では、まちの価値も上がりませんし、デベロッパーだって儲からないはずです。ちょっと贅沢なぐらいの、憧れのマンションにしてもらったほうが、みんな頑張って働こう、努力して良いまちに住もうという気が生まれるのではないでしょうか。

 それに、衰退していく地域であれば駅前周辺のマンションの資産価値は下がっていきますが、継続して発展していく地域ならマンションの価値は下がりません。明石を右肩上がりの市にすれば、多少高い一時金を払っても目減りしませんから、買おうと思う層はいるはずです。

 ふたを開けてみると、倍率は5倍、199戸が即日完売です。だからデベロッパーの判断は誤っていたのです。当時は人口が減少から増加に転じ、明石のまちのブランドイメージが高まっていた時期で、その影響はあったと思います。このマンションを買えなかった方々を含め、多くの人たちが明石のマンションに強い関心を持つようになり、駅前周辺で今も探しておられると聞きます。

 もちろん、すべてがうまく回っているわけではありません。あえて言うと待機児童数は全国ワースト6位、関西ではダントツのワースト1位です。市の人気が上がって人口が増えている影響もあると思いますが、こうした課題もあります。

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