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地域を元気にするCSV

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第5回 有機茶の「農芸品」開発で自社と地域の競争力を高める、下堂園

赤池 学=一般社団法人CSV開発機構理事長【2015.11.26】

 本コラムではこれまで、トヨタ自動車、JTBグループ、そして東京書籍が取り組む、大手企業のCSVビジネスをご紹介してきたが、公益と事業益を両立させる実践は、言うまでもなく地方の中小企業においても可能である。今回は、行政事業を活用しながら誕生した、有機・自然農法でつくられた緑茶、ほうじ茶、和製紅茶のボトリングティの開発をご紹介したいと思う。

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有機栽培で茶葉を育てる下堂園の茶畑(写真:下堂園)

 1954年、鹿児島市高麗町で鹿児島茶の販売店として創業した「下堂園」は、「鹿児島生まれの日本一美味しいお茶づくり」を目指して研究開発を重ね、鹿児島茶を代表する品種「ゆたかみどり」を使用した数々の銘茶を誕生させてきた鹿児島茶卸であり、茶業のベンチャー企業である。

  1992年には、「鹿児島茶を世界へ」という目標を掲げ、海外への販売を開始。世界で最も厳しいといわれる「ドイツオーガニック認証」を取得し、有機栽培で作られる鹿児島茶の自社農園「ビオ・ファーム」と「下堂園インターナショナル」を設立して、ヨーロッパをはじめ、世界50カ国以上に鹿児島茶を販売してきた。そして、「奇跡のリンゴ」で知られる、日本初のリンゴの無肥料自然栽培に成功した木村秋則氏の監修の下、日本で唯一、無肥料自然栽培のお茶づくりも行っている。

戦略的「横連携」を創出する鹿児島県の事業が契機

  そんな同社と筆者らが出会ったのは、鹿児島県が2011年度に実施した地場産業の創出支援事業「かごしまものづくり郷中塾」が契機である。「郷中」とは、薩摩藩が推進してきた先輩が後輩を教育する郷村塾に由来している。事業に参画した先輩企業が後進企業にそのノウハウを伝え、事業の自走化を図ろうという、歴史に学んだ行政の戦略が込められている。

  この事業は、「販売促進支援」「企業ブランディング支援」「新商品試作・開発支援」の三つのプログラムから構成される単年度事業である。一年間、外部の有識者、地場企業との交流を経て、それぞれのノウハウを研鑽。次年度以降は、行政のサポートを離れ、事業者間の個別契約でインキュベーションした事業を発展させ、域内企業と県内外企業との「横連携」を創出しようという戦略的な事業である。

  事業の初段、参画企業は自社の理念や事業構想をプレゼンテーションし、それを応援したいと感じた域内外企業とのマッチングを行った。筆者らは、前段で述べた下堂園の「有機茶の栽培を促進する商品開発を形にしたい」という提案に共感し、新商品開発のプロジェクトが立ち上がったのだ。

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「かごしまものづくり郷中塾」が新商品開発に結びついた(写真:CSV開発機構)

  筆者はこのとき、CSVビジネスのプレゼンを行った。言うまでもなく、お茶の有機栽培や無肥料自然農法による栽培は、手間も時間も膨大にかかる。そうした地元生産者を支援し、しかも自社の事業益を拡大させるためには、原料となる茶葉を可能な限り高額で購入し、しかも高額で売れる高級茶を開発すべきだと提案した。そして、郷中塾以降、3年の歳月をかけて開発してきた新しいお茶文化を提案する商品が、ようやく昨年、市場にデビューした。それが「吟穣茶」である。

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