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地域を元気にするCSV

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プロジェクト編 第3回

「台風発電を可能とする次世代風力発電サービス」の開発(日本ユニシス、チャレナジー)

一般社団法人CSV開発機構・編【2016.11.14】

●ここを学びたい
――地域特性を活かしたエネルギーの地産地消モデル

赤池 学=一般社団法人 CSV開発機構理事長

赤池学(あかいけ・まなぶ)氏
1958年生まれ。81年筑波大学生物学類卒。96年、ユニバーサルデザイン総合研究所設立、2014年CSV開発機構設立。科学技術ジャーナリストとしても活動(写真:北山宏一)

 日本ユニシスと、東京都墨田区のベンチャー企業・チャレナジーが、「台風発電」の実用化を目指した共同事業を開始した。台風下でも発電可能な次世代風力発電サービスの実証は、これが世界で初めての試みとなる。

 ご存じの通り、我が国の一次エネルギーの自給率は、わずか6%で、OECD加盟国34カ国中33位と、先進国の中で二番目に低い水準となっている。日本政府は2030年までに、この一次エネルギーを24.3%までに改善することを目指し、さらなる省エネルギーの推進と併せ、再生可能エネルギーの最大限の導入を、基本方針として打ち出した。

 目標達成に向け、風力発電は、洋上発電13.8億KW、陸上風力1.9億KWと、極めて高い導入ポテンシャルを秘めている。しかし、今年も日本列島が大型台風や爆弾低気圧に見舞われたように、風速20m以上の強風時には発電できないプロペラ式風力発電機では、その有用なポテンシャルを活かせないのだ。

 それに対し、チャレナジーが開発した垂直軸型マグナス式風力発電機は、風の強弱や風向きの影響を受けにくく、安全性、安定性の高い発電環境を構築できるものと期待されているのだ。

 そこに登場したのが、日本ユニシスである。同社は、長年電力業界へのシステム提供で培ってきたノウハウをクラウドサービスに集約。エネルギーの見える化、デマンドレスポンス、ポイント管理などを総合的に内包したエネルギー管理クラウドサービス「Enabilityシリーズ」を開発した。そんな同社がチャレナジーと協業することで、遠隔・多拠点に設置した設備の異常を早期に発見し、発電量低下による経済的損失の回避や、メンテナンス業務の効率化を実現しようという実践である。

 今回のプロジェクトを、CSVビジネスの観点から総括してみたい。

 第一の意義は、公益としての「ベンチャー企業支援」と、ベンチャーとの共創による「イノベーション事業の確立」という事業益を両立させていることだ。同様の実践は、異なる業界の大企業においても可能だろう。

 ここでポイントとなるのが、オープン&クローズ戦略だ。オープン&クローズ戦略とは、イノベーション領域の拡大やスピードアップを図るために自社が保有する特許などの知的財産をコア技術部分と非コア部分に分け、前者を独占(クローズ)しつつ後者については他社と共有(オープン)することを指す。今回両社は「風力発電技術」と「遠隔監視システム」というそれぞれのコア技術領域を尊重しつつ、「次世代風力発電システム」として組み合わせることで、実用化へのスピードを飛躍的に高め、開発コストの低減につなげている。

 第二の意義は、「地域貢献」と「地産地消型エコシステムの確立」という公益と事業益との循環をも形にしていることである。今回実証地として選ばれた、台風銀座の沖縄県南城市にとって、持続可能なエネルギーの地産地消モデルを獲得できるだけでなく、世界初のエネルギーの実証実験は、エコツーリズムなどのビジネス観光誘客にもつながっていくだろう。日本ユニシスにとっては、ここでのノウハウの蓄積を活かし、地理的制約を受ける他の離島や、多拠点化するホテルやビルの屋上へのこの風力発電サービスを展開する大きなスプリングボードとなることは確実である。行政、大企業、ベンチャー企業の「三方良し」を画策することで、CSVビジネスとしてのアピールができるだけでなく、新しいイノベーション事業の創造に結実していくはずである。

企画・運営
  • 日経BP総研


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