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地域を元気にするCSV

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プロジェクト編 第9回

創業支援センターTAMA――多摩地域の創業支援プラットフォーム化プロジェクト(多摩信用金庫)

一般社団法人CSV開発機構・編【2017.9.28】

ここを学びたい
――国策、行政施策を、地域の身の丈ビジネスのために翻訳する!!

赤池 学=一般社団法人 CSV開発機構理事長

赤池学(あかいけ・まなぶ)氏
1958年生まれ。81年筑波大学生物学類卒。96年、ユニバーサルデザイン総合研究所設立、2014年CSV開発機構設立。科学技術ジャーナリストとしても活動(写真:北山宏一)

 地域企業を育成・活性化することで地域金融機関も発展していく――。多摩信用金庫のCSVビジネスを解説する前に、都市銀行、地方銀行と、「信用金庫」の違いについてまず説明しておく必要があるだろう。信用金庫とは、「協同組織金融機関」と呼ばれる、営業地域が限定されている金融機関である。株式会社である銀行が株主の利益を優先するのに対し、地域の人々が利用者・会員となって互いに地域の繁栄を図る「相互扶助」を目的とするため、自ずと地域課題の解決を行っていくことが事業の主軸となっている。

  もう1つ、人口420万人を擁する多摩地域のポテンシャルについても触れておきたい。その面積は、23区の2倍、そこに30の市町村と、7つの商工会議所、21の商工会が存在している。その規模を、47都道府県と比べると、それは北海道、福岡、静岡に比肩し、海外で例えるなら、人口460万人のニュージーランドとほぼ同じ規模である。この地域のメインバンクシェアのトップが、多摩信用金庫なのである。取引先の事業規模は、中小・中堅事業者が中心だ。

 一方、課題もある。東京都庁は新宿にあり、同じ都内でも多摩地域には政策的な支援が行き届いていない現実がある。全国規模でいくと、各市町村3.8%くらいある産業振興予算が、多摩地域の市町村では、およそ0.5~0.8%の規模。ベットタウンとしての歴史が長いため、民生費や社会福祉に多くの予算が使われてしまっているのだ。

  こうした背景を踏まえた上で、改めて多摩信用金庫のCSVビジネスについて考えてみたい。まず、同信金は、こうした自治体との職員相互派遣を形にしてきた。この人事交流が、国策や地域課題、地域住民の創業意向の共有化につながり、市役所などとの戦略的連携協定に発展してきた。「RESAS(地域経済分析システム)」や創業支援、空き家対策など、様々なテーマで、自治体向け勉強会を積極的に開催し、関連部署の自治体職員が多数参加している。また、自治体とNPO団体との接点を作ったりするなど、官民が連携しての取り組みも積極的に行っている。

  地域事業者のリアルな交流学習の場も開設している。「ミニブルーム交流カフェ」だ。事業計画が作りきれていない創業希望者が、お互いに交流したり、起業セミナーを受講することができる。年間300~400人がそこに参加し、その2~3割が地域ならではのコミュニティビジネス、身の丈ビジネスなどの起業を実現してきたのである。

  また、広域で地域情報を発信するために、30の市町村をまたいでいる「広報たまちいき」という地域情報紙を発行し、現在6万5000部が多摩信金本店や地域の図書館・美術館など約500か所に設置されている。行政区と生活圏が一致しないため、各市が発信する情報では、住民にとって本当に必要な地域情報が掲載されていない、という不便さを解消したメディアだ。制作にあたっては、新聞社の地域支局を退職した人々に仕事を依頼し、雇用までも創出しているのである。

  今回、本文でご紹介した創業支援のプラットフォーム「創業支援センターTAMA」は、こうしたCSV活動の一つの集大成として形になったものなのだ。センターの最大の特徴は、行政区や管轄部局、官民の垣根を越え、創業前のノウハウ提供、拠点に関する情報提供、創業前後の資金調達支援、ネットワークを活用した支援機関に関する情報提供といった、創業予備軍に必要な機能をワンストップで実現できていることである。

  複数の行政や創業支援機関が、点で行ってきた活動を、線に結び、面に拡げる役割を、多摩信用金庫は実践してきたのである。

企画・運営
  • 日経BP総研


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