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地域を元気にするCSV

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プロジェクト編 第2回

日本橋とやま館(企画・デザイン・施工=乃村工藝社)

一般社団法人CSV開発機構・編【2016.10.18】

 観光客誘致や地域産品の流通拠点として、首都圏でのアンテナショップの機能強化を図る自治体が増えている。東京・日本橋に「日本橋とやま館」を新設した富山県もその1つだ。

「日本橋とやま館」店舗正面入口。道路をはさんで日本橋三越新館の向かい側という好立地だ。ロゴマークは、富山県のグラフィックデザイナーによるもの。店舗正面に大きく掲出することで、富山県の存在感を訴求する。(写真提供:乃村工藝社)
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竣工パーティーの様子。左は県知事をはじめ、県内および日本橋関係者による鏡開き。右は世界遺産五箇山合掌造りの地の獅子舞(写真提供:乃村工藝社)

 富山県では、北陸新幹線開通を契機に、首都圏からの観光客などを拡大すべく、2年前からアンテナショップの拡充を議論していた。その中で、単なるモノを売るだけではなく、その背景にある富山の美しい自然・多彩な文化・食の魅力などを伝え、「富山県に行ってみたい」と思ってもらえるような、“富山の上質な暮らし”を伝える新しい拠点を整備すべきという結論に至った。

 施設が持つべき機能としては、富山の味を体験できるレストランを主軸に、物販機能、観光案内機能、交流イベントを実施する空間としての機能などを設定し、総合的な情報受発信拠点として検討を進めた。こうして2016年6月にオープンしたのが「日本橋とやま館」である。

施設の主軸機能となる飲食店のカウンター。富山県内の建具屋による立山連峰を模ったアート組子による工芸。手前のカウンターも富山県産の一枚ものの木材を使用(写真提供:乃村工藝社)
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トヤマバー。富山県産立山杉を使った、カウンターと格子組ウォール。格子組ウォールは立山連峰をかたどっている(写真提供:乃村工藝社)
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 企画・デザイン・施工を担当した乃村工藝社は、アンテナショップなどの公共スペースづくりにおけるCSVソリューションとして、「求心力となる新たな目的を投入して施設の活性化を図る」という提案を実践してきた。例えば、「Forester Project」は、地域特性のある国産材で施設の内装や家具、什器を製作し、林業支援を図りながら、地域ブランドを強固に印象づける施設開発を形にするプロジェクトだ。また、「Japan Value Project」は、伝統技術や素材を扱う全国の事業者と連携し、施設へのスペックインでその発信の場を提供しようという取り組みである。全国の伝統技術・素材を厳選し集約したWEBカタログをイントラネットで作成し、グループ内約300名のデザイナーが仕様を決定する際の活用を検討している。

 ただの物産館ではなく、観光、産業、移住など、富山県が主催する様々な地域活性化施策に活用できる拠点づくりを目指した日本橋とやま館の企画設計は、こうしたCSVソリューションのノウハウを生かしたものだ。

 空間全体には、富山の県産材、伝統工芸品を使用。テーブル、椅子に使う木材についても、デザイナーが地場の製材所を巡り、杉や欅をはじめとする県産材が選び抜かれて使われている。欄間で有名な井波彫刻のディスプレイ、立山連峰を模ったアート組子細工、和紙の内装、そして南砺市城端の特産品である、二頭の蚕が吐いた繭由来の複雑なテクスチャーを持つしけ絹の壁紙など、そこは本物の富山の魅力を伝える空間であると同時に、富山県人の誇りの場所となっている。施設の賑わいづくり(トオリニワ)や、交流イベント運営に活用しやすい空間設計(トヤマバーと交流イベントスペース)など、情報受発信拠点としての機能も発揮している。

 また、空間デザイン・施工とは別に、乃村工藝社は、オープニング関連業務、さらにはオープン後の広報や各種イベントなどの支援を一体的に行うための「ディレクション機能」を受託。館長を筆頭とする富山県の担当者とともに、とやま館運営チームの一員として催事の企画・演出や、集客・取材誘致・広報活動に関するアドバイスを行う官民一体の運営体制を作っている。これにより、とやま館として、効率的な業務運営、効果的なノウハウの蓄積・共有が促進される結果となっている。

日本橋とやま館のディレクション業務モデル図(資料:乃村工藝社)
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 契約形態こそ従来と変わらないものだが、任命された館長をはじめとする富山県職員の「自分たちがやる」という高い意識と、乃村工藝社の「良いものをつくりたい」「地域活性の効果が上がるものにしたい」という想いが一致した好事例となっている。

 結果として、日本橋とやま館は8月末までに約11万人が来場。物販、飲食、バーの売り上げは、1日平均約90万円、これまでに合計約8000万円を稼ぎ出している。

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■プロジェクトの推移
  • 2014年度~
    富山県が新しい首都圏情報発信拠点の本格検討を開始
  • 2015年6月
    出店場所が決定(日本橋大栄ビル)
  • 2015年9月~11月
    基本計画および基本設計の策定
  • 2015年12月~16年1月
    実施設計の策定
  • 2016年3月~5月初
    施工
  • 2016年5月
    プレオープン/セレモニー、内覧会
  • 2016年6月
    オープン
  • 2016年6月~
    広報・イベントなどに関わるクリエイティブディレクション業務および運営支援業務
企画・運営
  • 日経BP総研


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