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地域を元気にするCSV

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プロジェクト編 第8回

スマートウェルネス体感パビリオン(ナイスグループ)

産官学でスマートウェルネス住宅の普及を促進

一般社団法人CSV開発機構・編【2017.6.28】

ここを学びたい
――行政と共に、行政をリードする価値とルールをつくれ

赤池 学=一般社団法人 CSV開発機構理事長

赤池学(あかいけ・まなぶ)氏
1958年生まれ。81年筑波大学生物学類卒。96年、ユニバーサルデザイン総合研究所設立、2014年CSV開発機構設立。科学技術ジャーナリストとしても活動(写真:北山宏一)

 1950年に木材市場運営会社として創立したナイスグループは、住宅資材事業に加え、マンション・戸建住宅の施工・分譲を手掛ける、ハウジングソリューションカンパニーである。特に、東京、神奈川を中心に、新しい間取り発想によるコスト性の高いマンションを供給し、業界を席巻した実績を持っている。戸建住宅事業においては、最新技術の「構造用集成材」や高強度のオリジナル専用金物を使用した木造軸組工法「パワービルド工法」を開発し、建築基準法の1.5倍の耐震強度(耐震等級3に該当)をはじめ、高い住宅性能を標準とする「パワーホーム」などを販売してきた。

 そこでは、LOW-Eペアガラスの樹脂サッシや木質系断熱材などの組み合わせで建物の熱の出入りをできるだけ抑え、「HEAT20(2020年を見据えた住宅の高断熱化技術委員会)」が提唱する最高レベルG2の断熱性能も形にし、国が2020年までに50%以上の普及を目指している「ZEHビルダー」として登録されている。「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー住宅)」とは、高い断熱性能や省エネルギー性能に優れた住宅設備で消費エネルギーを減らし、さらに消費した量以上のエネルギーを太陽光発電などで創り出す「スマートハウス」のことである。

 スマートハウスやZEH、そして住宅の性能評価の等級は、住宅選びの際には重要な要素になるはずだが、なかなか一般生活者に馴染みづらい。前段ではあえて専門的な用語も交えながら説明をしたが、ナイスグループが鶴見の本社前に開設した「スマートウェルネス体感パビリオン」は、まさにそれらを”体感”させて理解させる、スマートハウスの教育・周知施設として開設されたものだ。

 パビリオンを訪ねると、共同研究を行っている横浜市や慶応義塾大学による施設の解説映像から始まり、高い断熱・気密を促す建材の実物展示、異なる断熱空間に身を置いた時のバイタルサイン、例えば断熱性の低い居室に入ったときの血圧の変化を、体感を通じて体験できる。

 もちろんそこでは、ビジネスとしての事業益を確保するための仕掛けも形になっており、パビリオンに併設されたモデルハウスツアー、そこにおけるユーザーのモニタリングなども行われている。いわば「事業拠点を活用したCSV施設」なのだ。

 もう一つ、この施設名称で注目してほしいポイントがある。「スマート」の意味については概説したが、そこには「ウェルネス」という言葉が添えられている。国は今、国土交通省を中心に、省エネ、創エネなどのエネルギー合理化を形にしながら、居住者の健康寿命の延伸に寄与する住宅の普及を奨励し始めたのだ。

 ウェルネス建材の代表は、「木材」である。木材は、高い調湿性を持つため、公共施設への導入で様々なエビデンスが明らかになったように、感染症の罹患率が格段に低下することなどが分かっている。また、住空間内の木の活用度によって光環境、照明環境が変わり、睡眠効果や慰安効果をもたらすこともできるのだ。

 このパビリオンの戦略性はここにある。国はいまだ、「スマートウェルネス住宅」の明確な性能評価指標や評価基準を定義していない。それを行政や研究機関と協業しながら、実証実験を繰り返し、そのスタンダードを確立することを目指しているのだ。

 木材問屋としてスタートしたナイスには、木材についての豊富な知見がある。それらを活かしながら行政と協業し、さらには行政に先んじたウェルネス住宅の評価指標や認証ルールを確立することができるはずである。

 こうして国が進める事業の「ルール形成戦略」に民間企業が参画していく。そこには間違いなく、参画した企業の先行利益が約束されている。ナイスグループは今、耐震住宅、省エネ住宅を土台としながら、ヘルス(健康)、ウェルネス(快適)、ウェルビーイング(幸福)な住宅の未来を、スマートウェルネス体感パビリオンから、創発しようとしているのである。

企画・運営
  • 日経BP総研


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