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地域を元気にするCSV

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プロジェクト編 第7回

「JAPAN FRUIT」によるインバウンド販促支援(J&J事業創造)

農産物の検疫サポートで外国人旅行者の買い物を手軽に

一般社団法人CSV開発機構・編【2017.4.24】

ここを学びたい
――ビジネス化に必須の「産業エコシステム」構築

赤池 学=一般社団法人 CSV開発機構理事長

赤池学(あかいけ・まなぶ)氏
1958年生まれ。81年筑波大学生物学類卒。96年、ユニバーサルデザイン総合研究所設立、2014年CSV開発機構設立。科学技術ジャーナリストとしても活動(写真:北山宏一)

 以前この連載で取り上げた1本5400円の冷飲用ボトリングティ「吟穣茶」は、JR九州のプレミアム観光トレイン「ななつ星」や、高級ホテル、航空機ANAの国際線ファーストクラスなどでの国内提供に採用された。それだけにとどまらず、欧米やASEANでもその美味しさとインパクトが話題をまき始めている。

 鹿児島県の茶舗・下堂園が開発した「吟穣茶」は、JAS認定の地元有機茶葉を、地元の水で抽出する際に、日本の超音波を用いて旨味を引き出している。このように、付加価値の高い日本のテクノロジー、デザイン、クリエイティブの粋を凝らして生産・加工した食農製品は、間違いなくインバウンドや海外マーケットにも訴求する。

 私は、こうした青果物や食品の開発を、「農芸品」という新しい日本のブランドとしてマーケティングを図りたいと提起してきた。工業製品にジャパンバリューの「工芸品」があるなら、食農製品にも「農芸品」があるべきだと考えているからだ。

 北海道のメロン、福岡のいちご、青森のりんごなど、日本の高級フルーツは、長い時間をかけた改良研究が生み出した、日本が誇る「農芸品」である。事実、インバウンドのお土産や、観光農園における集客という形で、そのインパクトはすでに顕在化しているのだ。

 こうした「農芸品」をビジネスにするためのポイントは、そのための「産業エコシステム」を生み出すことである。すなわち、「農芸品」を国際流通させるための「バリューチェーン」を構築することが求められているのだ。

 「農芸品」をインバウンドに売るためには、まず購入者の個人認証と決済処理がいる。J&J事業創造に参画するカード会社・ジェーシービーは、その決済機能を持っている。大手の旅行代理店であるジェイティービーが、パナソニックやNECなどの個人認証技術のシステムをそこに組み入れたことが、今回の「食品検疫システム代行サービス」の一番のポイントである。

 さらに、ヤマト運輸などの物流会社や、大手タクシー会社と連携すれば、インバウンドが指定するホテル、空港、本国の自宅にお土産を配送することができる。そして、ジェイティービーが、海外での「日本の農芸品プロモーション」を戦略的に行えば、このバリューチェーンが持続的に回っていくのだ。

 さらに、全中とその下部組織であるJAのシンクタンク、JC総研がこの事業構想に発展的に協力している。ファーマーズマーケットを営むJAと連携することで、そこをインバウンド販売の拠点化することが可能になる。今回の実証においても、J&J事業創造が検疫代行を組み入れたデリバリーを形にすることで、JAサイドも計画生産・計画配送が可能になると高い評価を受けている。国際線乗り入れの空港を持つ自治体のJAが、インバウンドマーケティングに目覚めることで、生産者の経営意識も間違いなく向上する。ファーマーズマーケットも、単なる青果物や惣菜の物販に留まらず、「農芸品」の戦略的な開発に乗り出す事業体も生まれてくるだろう。「地産地消」から「地産外消」への戦略的バリューチェーンを生み出す可能性を示したことが、今回の「JAPAN FRUIT」プロジェクトの最大の成果だと考えている。

 このビジネスモデルは、言うまでもなく、地域の漁協や漁連と連携した「水産物の国際流通」にも使える。さらに言えば、トランクなどの「インバウンド・バゲージデリバリー」にも簡単に応用できるはずである。

 我が国にはまだ、過去の産業構造や商慣習に基づく、様々な障壁や規制が存在する。それを新しい民間協業によって乗り越え、「ワンストップビジネス」として形にしていくことが、これからの公民連携の大きなフィールドになるものと確信している。

企画・運営
  • 日経BP総研


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