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地域を元気にするCSV

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第12回 トヨタ自動車と「木のコンセプトカー」を開発、住友林業

赤池 学=一般社団法人CSV開発機構理事長【2016.4.5】

 トヨタ東日本学園のレポートから始まったこの連載も、今回で最終回を迎える。その最後のレポートも、トヨタ自動車のあるユニークな実践の紹介からスタートしよう。

 この4月、イタリアで開催される「ミラノデザインウィーク」、通称「ミラノサローネ」に、トヨタ自動車が企画・製作した、木を活用したコンセプトカー「SETSUNA」が出品される。そこには、「刹那」という短い時間の繰り返しと積み重ねのなかで、かけがえのない価値が育まれていく、という熱い思いが込められている。

トヨタがミラノサローネに出展するコンセプトカー「SETSUNA」。外板には住友林業と共同開発した国産のスギ材を使用している。質感が経年変化する木材を使うことで、クルマが家族の積み重なる想いを受け継ぎ、人々と共に歳月を経て変わっていくことを愛でる、という、「人とクルマの新しいつながり」を表現する(写真:トヨタ自動車)
[画像のクリックで拡大表示]

 今なぜ、木のクルマなのか。トヨタは、このコンセプトの実現にあたり、「年月を重ねることで味わいや深みが増し、ユーザーにとって唯一無二の存在になること」、「愛着をもって手入れを行うことで、世代を超えて使い続けることができること」、などの理由から、素材として「木」を用いることを選択。この思いに共感し、クルマの外板を共同開発したのが、木材や住宅を供給する住友林業である。

 思い出して欲しいのは、この連載の第2回で紹介した、マイケル・ポーター、ハーバード大学教授の箴言である。

 「CSV時代の企業に求められていることは、ユニークになるために闘うことである。そのためには、ユニークな事業を構想すること。それを実現するユニークなバリューチェーンを構築すること。そして、最も大切なことは、やらないことを決めることである」

 木を活用したクルマという構想、それを実現する自動車メーカーと木材事業者の協働、そして林業支援に直結する国産材活用へのこだわりは、氏の言う「ユニークになるために闘う」という提言を見事に満たしている。

 これまで鉄の塊だった自動車に木材を使用するというチャレンジは、停滞気味の自動車市場に新しい需要を創造する可能性がある。そして、木の自動車の実現のプロセスでは、自動車業界にも木材関連業界にも新しいイノベーションを生み、そこに雇用とバリューチェーンが構築される。ユニークさが生み出す新しい価値。まさに尊厳あるCSVの実践である。

 以下では、住友林業の取り組みや、今年度から林野庁後援で設立された、「ウッドデザイン賞」の取り組みを通じて、これから望まれるCSVビジネスを総括してみたい。

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