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地域を元気にするCSV

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プロジェクト編 第6回

地方創生ファンド(フューチャーベンチャーキャピタル)

「もりおか起業ファンド」のケースを中心に

一般社団法人CSV開発機構・編【2017.3.16】

ここを学びたい
――自治体は、プロデュース力を持つエンゼルと協業せよ!!

赤池 学=一般社団法人 CSV開発機構理事長

赤池学(あかいけ・まなぶ)氏
1958年生まれ。81年筑波大学生物学類卒。96年、ユニバーサルデザイン総合研究所設立、2014年CSV開発機構設立。科学技術ジャーナリストとしても活動(写真:北山宏一)

 信用も実績もない創業期の企業にとって、ベンチャーファンドが提供するリスクマネーは、言うまでもなく事業を育てていく上で、このうえなく貴重である。しかし、多くのエンゼルのビジネスモデルは、選りすぐりの一社に対して、投資、企業価値の向上、株式上場を短期間に実現させ、保有する株式を売却して投資回収を行うというものである。このビジネスを農林水産業に例えれば、養殖漁業や施設園芸のモデルに近い。

 一方、今回取り上げたFVCは、自治体や地域金融機関との連携により、複数の地場企業を成長させて地域経済を活性化させ、利益の拡大を図ってきた。そこでは、投資した企業に対し、事業の定期的なモニタリングを実施し、事業を成功させるための経営支援体制を実務レベルで提供するというビジネスモデルを確立している。

 同社の美質は、経営管理ノウハウの提供にとどまらず、販路の紹介やパートナー企業とのマッチング、そして事業コラボレーションのプロデュースまでを、手間暇を掛けて取り組んできたことにある。地域のBtoB企業を、BtoC企業と協業させ、付加価値の高い商品開発などを数多く形にしてきた。盛岡における漆ビジネスなどが、その分かりやすい成果である。

 すなわち、プロジェクトのプロデュース力を持っていることが、同社の大きな強みでもあるのだ。企業経営者にとって、お金も大切だが、もっと大切なのは、経営のサポート体制だからだ。

 このように見ていくと、同社の実践は、育林、造林、間伐、林道整備、製材、建材開発、住宅供給をワンストップで行う、先進林業のビジネスモデルに近いことが分かる。

 こうした同社のファンドが、なかなかうまく機能していない補助金や助成金と決定的に違うのは、投資先が成長してくれなければ、自分たちのビジネスが成り立たないということだ。だから、一緒に成長しようと必死になるし、経営のPDCAサイクルをしっかり回すことができる。同社のようなエンゼルを呼び込むことで、自治体は、地域産業活性のエンジンを手に入れることができるのだ。

 また、投資を受けた企業にとっても、国内外の企業との協業行うことで、その新しい商流を利用できたり、協業先の商品開発力やデザイン力を学び取ったりすることもできる。

 同社の実践で特筆したいことは、盛岡市産業支援センターに、指定管理者として関わっていることである。スタートアップの相談や、ビジネスマッチングのコーディネートのノウハウをこうしたセンターが持つことは、これからの自治体にとって、一つの新しい経営モデルになる。全国のテクノパークやデザインセンターは、こうした盛岡市の選択から、多くのものを学ぶべきである。

 そして、今回はご紹介できなかったが、同社は地域の大学に対しても、定期的な「ベンチャー・スタートアップセミナー」を実施し、学生たちに事業開発や起業についてのレクチャーやアドバイスを行っている。地域の大学にとっても、同社のようなエンジンを呼び込むことで、新しい大学経営の活路を見出すことができるように思う。

企画・運営
  • 日経BP総研


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