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地域を元気にするCSV

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第11回 CSV・CSR・EDSの連環で地域に貢献、伊藤園(2)

バリューチェーンのCSVを競争戦略に(後編)

赤池 学=一般社団法人CSV開発機構理事長【2016.2.26】

 前回、伊藤園のCSVを基軸とした総合的な競争戦略と、その成果としての製造・物流におけるCSVの実践をご紹介した。「茶畑から製品まで」の独自の一貫体制により、様々な関係者と協働しながら、ステークホルダーと顧客に価値を届ける先進的な活動を展開してきた。今回は、同社の製品・サービスにおけるCSVの実践を入口に、伊藤園の事業戦略を振り返ってみたい。

放射性物質を含めた厳しい品質管理

 伊藤園では、製品の設計、原料、包装材から、製造、流通にいたるまで、厳しい品質管理体制を確立し、製品の安全性確保に努めてきた。原料段階における残留農薬検査は、品質管理部門で行い、製造段階における香り、味の機器による分析、微生物などの検査は、同じく品質管理部門と製造委託工場の双方で行ってきた。そこでは、すべての飲料製品についてのゲルマニウム半導体検出器などの放射線量測定器での検査やモニタリングも行われ、放射性物質の検査体制も確立されている。

特定保健用食品「カテキン茶シリーズ」 では、体脂肪やコレステロールが気になる方を ターゲットとした特定保健用食品を開発。健康ニーズの高まりに対応している(写真:伊藤園)
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 また、国産緑茶原料のトレーサビリティシステムにおいては、生産農家の栽培管理記録、特に農薬に関する部分を重点的にチェックしている。野菜飲料の海外産原料の品質管理においては、世界各地の原料調達先から受理する「品質保証書」による確認と、産地で栽培、加工、管理の確認を行い、法令に適合した安全な原料使用も徹底している。仕入れ担当者自らが現地に赴き、使用農薬の実態や品質管理体制をチェックしているのである。

 さらに、消費者の健康志向の高まりを受けて、お茶の健康性に関する研究や、機能性表示食品の研究などを、多岐に渡って進めてきた。その中心組織である伊藤園中央研究所では、こうした知的財産をベースに、製品の試作開発や製造工程の改良を進め、その成果として生み出されたのが、体脂肪やコレステロールが気になる顧客をターゲットとした特定保健用食品の開発である。「2つの働き カテキン緑茶」、「同 カテキン烏龍茶」、「同 カテキンジャスミン茶」などだ。

 改めて説明するまでもないが、製品の安全性確保体制は、生産農家、産地を含めたバリューチェーン全体での競合優位の確立であり、特定保健用食品の開発は、新しい機能性を実現することによる商品レベルでの差別化の推進につながっている。まさに企業の事業戦略と社会的価値との共有価値を創造するCSV経営の模範演技である。

財産は「人」、独自の人材教育を形に

 こうした活動を支えているのが、伊藤園が独自に展開する社内教育のシステムである。
 伊藤園グループでは、法令順守、地域活性、環境貢献などを定めたISO26000に基づくCSR推進を強化するとともに、持続可能な社会を支える人材育成や関係者との協働を体系化し、発展させるために、「ESD推進基本方針」(ESD=Education for Sustainable Development:持続可能な開発のための教育)を策定し、様々な教育活動を推進している。

お茶セミナーの様子。ティーテイスター制度で資格を獲得した社員が講師役となり、お茶の知識や 入れ方、おいしさ、健康性などを啓発する活動を全国各地で展開。社員の意 識向上、モチベーションアップにもつながっている(写真:伊藤園)
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 そこでは、最も大切な財産は「人」であるという考え方に基づき、社員のやる気を支援する多様な自己啓発制度を整備してきた。

 1989年に創設した社内研修制度「伊藤園大学」では、営業、財務、マーケティング、組織などのカリキュラムから社員が学びたい内容を選び、知識の習得を目指して1年間、課題やグループ検討に取り組んでいる。2009年には、「伊藤園大学院」も開設し、自己啓発に取り組む社員が経営感覚を身に付ける場として活用されている。

 また、1994年から開始した「ティーテイスター(茶資格)制度」もある。お茶に関する高い知識と技術を持つ社員に資格を与え、お茶に関する知識と技術の向上、社内外へのお茶文化の普及などを目指した伊藤園独自の社内制度である。

 有資格者は、「お茶の専門家」として、お茶の知識、入れ方、おいしさ、健康性などの説明や実演などの活動を、全国各地で展開しているのである。2016年夏には、国内の世界遺産4カ所(中尊寺、日光東照宮、厳島神社、醍醐寺)で「お~いお茶 大茶会」を開催しての日本文化との連動、製品販売先である流通企業と連携した展開する。公民館や学校などでの展開、東北の震災復興支援としての「お茶っこ会」、量販店などの店頭で行う「大茶会」など、活動の場も多岐にわたる。

企画・運営
  • 日経BP総研


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