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第3回 「お試しでやってみる」(後編) ―地域科学研究所の実験―

馬場 正尊=公共R不動産【2016.3.4】

旧朴木小学校のカフェフロアにて 手前左から、大分県由布市の耕作放棄地を開墾し、無農薬栽培による農業を行う農業生産法人ほおのき畑を起ち上げた林田真人氏、地域科学研究所公共イノベーション&サポート事業部課長の西田稔彦氏、同社代表を務める平井慎一氏、公共R不動産の馬場正尊氏。林田氏は地域科学研究所の元社員でもある(写真提供:公共R不動産)
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まずは自分たちで学校を借りてみよう!と始まった地域科学研究所のインタビュー。後編はサービスを提供するまでのお話や自治体と向き合う中での気づきをお聞きします。

一線での試行錯誤の中に、ハードだけでなくソフトも実践する地域科学研究所ならではのサービスのヒントが隠されています。(前編はコチラ

点から面への展開

馬場:ところで、そもそも地域科学研究所が公共施設に新しいマネジメント手法が必要だと思ったきっかけを教えてください。

平井:まず、我々の会社は不動産鑑定士の現会長木下光一の仕事がベースにありました。不動産鑑定というのは、例えばこの土地・建物がいくらかという評価を、一筆ごと一棟ごとに行っていきます。その不動産鑑定を合理的に行うためにシステムを開発したのが次の段階です。

馬場:どんなシステムを作っていったのですか。

平井:まずは鑑定に必要となる、土地の間口や道路の幅員を入力していきます。他に、近くに公共施設や公園があるというのは評価の上でプラスになりますので、そういった情報。反対に地価形成にマイナスを与える施設がある場合は減価される、というようにシステムにインプットしていきます。

 これを行うには、どうしてもその土地・建物だけを見る「点」としての情報では不足してしまいます。周囲の環境や状況もインプットでき「面」として見て使えるシステムが必要でした。弊社がシステムに地図情報を組み込むようになった理由はここが大きいです。そして、このシステムを作ったことが、弊社サービスの大きな転換点となりました。

新しいマネジメント手法

馬場:そこからどのように不動産向けから行政向けへと進化していくのでしょうか?

平井: 10年前に市町村合併があったのをきっかけに、地方の人口減少と相まって公共施設が再配置されることになってきました。コスト的に考えると公施設の再配置は合理的なのですが、小学校など地域の拠共点がなくなると、地域の活力までなくなる。そこをどうしようかという相談が自治体から来るようになりました。

馬場:公共施設の再配置ではどういうお手伝いをしていたのですか?

平井:まず、自治体の中で、資産の持っている総量というものが、固定資産台帳として完全に把握されていない状況がありました。

 民間では決算書にバランスシートがあり、そこで、持っている資産がはっきり記載されていますが、自治体は、単式簿記による会計管理のため、正確なバランスシートの数字としては把握されてきていませんでした。これをまずデータベース化して、クラウドシステムで共有できる環境づくりからお手伝いを始めました。これによって、どのくらい老朽化した施設がどこにどれくらいあるのか、類似施設が近くにないかなど、視覚的に自治体が政策判断できるシステムサービスを提供し始めました。今は、これを基に総務省からの要請でこれからの公共施設の在り方を政策的に決める「公共施設等総合管理計画」を地方自治体が策定しています。弊社もこれを作成するお手伝いをしています。

 今後施設をどうしていくか?ということについては、自治体も悩まれていますね。例えば、「建物を残そう」というのは簡単ですが、維持管理費がかかってお金を生まないわけです。そこで代替案を提案していました。具体的な内容としては、公共施設を稼げる施設として活用できるよう、使われなくなった学校給食調理場を地元で6次産業化を進めている起業家さんの加工施設として活用できるように自治体と民間企業の人をつないだり、大きな施設では施設維持管理費の中でも大きな割合を占める清掃経費や、水道光熱費が適正にマネジメントされているかなどを診断して、再配置せずともコスト削減できないかといった運営方法の見直しをしたりしました。

馬場:自治体の資産管理システム開発とそのデータベース化の仕事をしているうちに、相談を受けるようになったということですね。10年前は、自治体も公共施設の負担が重荷になることへの気づきがなかったような気もするのですが。

平井:そうですね。そのころから気づいていた自治体は一部だったと思いますね。ただ、合併すると国から下りる交付税の特例はあるけれど、その後減るのは分かっていました。さらに、合併によって文化ホールが2つになったり、施設の重複も出てきますし、2008年をピークに日本の総人口は減りはじめていますが、地方は早い段階から減っています。そうすると、地域の産業も衰退し、自治体の税収が減ることになりますので、財政面でも施設を維持することが難しくなってきます。

馬場:自治体の公共施設のデータベースの見える化を進めながら、自治体経営の視点で、自治体財政が厳しくなっていくことを最初に具体的な数字として、リアルに感じざるを得ない立場にいたということですね。

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