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第3回 スウェーデン・ストックホルム市・ハマービー地区――環境負荷半減のモデル都市が完成、海外展開も

藤堂 安人=日経BPクリーンテック研究所【2016.10.19】

 スウェーデン・ストックホルム市の中心街からクルマで30分足らず、ソーデルという島の南側にある港町、ハマービー地区。2016年、同地区でスウェーデン、さらには欧州を代表するスマートシティ「ハマービー・ウオーターフロント」が完成を迎えた。ストックホルム市が主導して、スウェーデンの都市開発関連会社を巻き込んで開発した。この都市モデルに基づいて全世界にインフラ輸出するスウェーデンのビジネスモデルには定評がある。

「他地域よりも環境を2倍良くする」

図1●ストックホルム・ハマービー地区の開発の変遷
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左は1920年代のハマービー地区。右は開発が進んだ2009年時点の街並み(出所:ストックホルム市)

 同地区はかつて中小の工場が集中する工業地帯で土壌汚染が深刻化していた。1991年に再開発の方針が策定され、1995年には土地の造成が始まった。ただ当初は、土壌をすべて入れ替えるところから着手したこともあって、遅々として開発が進まなかった。

 転機が訪れたのは2004年。ストックホルムが夏季オリンピック開催地に立候補した際、ハマービーが選手村として選定されたのである。同市は、選手に理想的な環境を提供するために、「他の地域よりも2倍環境に優れる街にする」として、環境負荷を半減する目標を打ち出した。結果としてストックホルムは誘致争いでアテネに敗れたが、その環境目標は維持されることとなり、環境にやさしいエコシティづくりが動き出した(図1)。

 行政当局は、「他地域よりも2倍良い環境」という目標を、より具体的な数値目標に落とし込んで開発を進めた。現在では、「エネルギー関係の目標を除いて、現時点で環境汚染、交通、上下水、建築材料、材料フロー、土壌など、ほとんどの面で目標をクリアしている」(ストックホルム市の担当者)という。

 目標達成のためにストックホルム市が考えたのは、ハマービー地区内で同市が所有していない土地を買い取ることだった。建築物や道路、交通手段について、配置を含めて街を丸ごと開発できる体制を築くためである。開発に当たっては、エンジニアリング会社のSWECO社、廃棄物収集システム会社のEnvac社、不動産開発業者25社が共同で、建物の高さ、建築材料、緑化地帯、公共交通機関、廃棄物収集システム、水道/下水道など、あらゆる面で目標を達成できるマスタープランを練り上げた。

住民の10%がカーシェアリングを活用

 ストックホルム市は住宅などの開発に当たって業者と契約を結んだ。その際、市に借地料を支払うと共に、マスタープランに基づいた開発を行うことを厳しく求めている。企業が、こうした厳しい条件を飲んでまでプロジェクトに参加するのは、ここで採用された技術や部品が、都市開発手法におけるデファクトスタンダードとして扱われ、海外輸出の可能性などビジネス機会の拡大を期待できるためである。

 例えば水道水設備では銅管と塩ビパイプの利用を禁止。家具付き集合住宅の家電製品はEUの電気効率基準でA以上のものとする、暖房エネルギーを抑えるため断熱板や二重窓ガラスを利用する、などの基準も設けた。建築面では、資材を運ぶためのロジスティックセンターを設け、50社の建築会社が使う資材を1カ所に集めることで効率化を図っている。

 下水については住宅やビルから出る下水汚泥をメタン発酵させて、可燃性ガス(バイオガス)を発生させ、自動車燃料や家庭用の都市ガスに活用した。

 公共交通機関については、LRT(Light rail transit:ライトレールトランジット、図2)、バス、対岸に渡るフェリーなどを整備したほか、カーシェアリングシステムを導入した。現在では住民の10%がマイカーを持たずカーシェアリングを活用している。LRTは初期投資額が大きくなるが、「不動産価値を上げる効果があるため長期的には経済メリットが出てくる」(ストックホルム市)という。

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図2●ハマービー地区を走るLRT(撮影:日経BPクリーンテック研究所)
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