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第14回 オーストラリア・タスマニア州キング島――風力発電を活かしてエネルギーコストを削減

藤堂 安人=日経BP総研 クリーンテック研究所【2017.9.25】

 オーストラリア大陸の南東、タスマニア島との海峡に、キング島という人口1600人ほどの離島がある(図1)。風光明媚な海岸線を持ち、オーストラリア本島から休日にはレジャー客が押し寄せる(図2)。ゴルフ場には、のどかにワラビーが跳ねている(図3)。

図1 オーストラリア・タスマニア州のキング島の位置

図2 キング島の海外線(撮影:日経BP総研クリーンテック研究所)

図3 キング島にあるゴルフ場。ワラビーが出没する(撮影:日経BP総研クリーンテック研究所)

 そんなオーストラリアの小さな島が、再生可能エネルギーを活用する新エネルギー産業の最前線になりつつある。風力発電とディーゼルエンジンを協調させてディーゼル燃料を削減するマイクログリッドを構築するとともに、それをパッケージにして同国他地域や海外輸出も進めようとしている。

 開発主体は、タスマニア州が所有する電力会社であるHydro Tasmaniaである。オーストラリアでは、電力システム改革が進んで発電・送電・電力小売りが分離されており、HydroTasmaniaは本拠地であるタスマニア島では発電事業しかてがけていない。ただ、キング島は本土やタスマニア島の電力網とは切り離されているため、電力を安定供給するためにHydroTasmaniaが発電、送配電、小売りを垂直統合型で提供している。

 キング島では、もともとディーゼルエンジンだけで電力を供給していた。このため燃料代が発電コストの8割にも達し、コスト水準は本島の数倍になっていた。タスマニア州政府は、本島とほぼ同じ電力料金を住民に保証するために、発電コストの差額分として、年間1000万オーストラリアドル(約9億円)を補填していたという。

 そこでHydroTasmaniaとタスマニア州政府は、燃料コスト削減の高いニーズを背景に、風力発電を中心に再生可能エネルギーを有効利用することによって燃料費を減らすプロジェクト「KIREIP(King Island Renewable Energy Integration Project)」をスタートさせた。

メガワット規模でディーゼルゼロ運用

 
 強風が吹くことで有名なキング島では、まず風力発電を導入した(図4)。5基合計で出力は2.45MWに上る。太陽光発電システムも小規模ながら390kW導入した。

図4 キング島に設置された風力発電機
同島には5基の風力発電機が設置され、総容量は2.45MWになる(撮影:日経BP総研クリーンテック研究所)

 同島の需要ピークは2.5MWである。2015年には、ほぼシステムが完成し、時間によってはディーゼル発電をストップさせる運用が可能になった。結果として、使用するディーゼル燃料を従来の35%に抑え、年間200万オーストラリアドル(約1億8000万円)の燃料代削減に成功した。HydroTasmaniaの同プロジェクトの責任者は、「メガワットスケールでディーゼルエンジンをゼロにする運用を可能にしたプロジェクトは世界でも例がないのではないか」と語る。

 KIREIPでは2008年から、「ダイナミックレジスター」、蓄電池、ディーゼルUPS(無停電電源装置)の順にディーゼルエンジンの稼働を抑える技術を順次投入していった。

 「ダイナミックレジスター」は1.5MW容量の抵抗器で、風力発電の余剰分を熱として消費すると共に、風力発電に起因する周波数変動を調整する役割を果たす(図5)。それ以前は、風力の変動に応じてディーゼルエンジンの出力を変動させることで周波数調整していた。これが、ダイナミックレジスターを稼働させることによって、ディーゼル発電機の稼働を平準化し、燃料代を節約できた。

図5 KIREIPに導入されたダイナミックレジスター
電力を熱として消費する。近づくと熱風が吹きつけてくる(撮影:日経BP総研クリーンテック研究所)

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