米国カリフォルニア州南部、人口約140万人の大都市であるサンディエゴ市が、再生可能エネルギーの導入を加速し、大胆なCO2削減策を打ち出している。産官学で各セクターごとにプロジェクトを立ち上げ、市が地球温暖化対策のリーダーシップをとることで、同市内におけるクリーンテック関連企業の産業振興につなげる狙いがある。
サンディエゴ市は2016年1月、地球温暖化対策計画「Climate Action Plan」の最新版を発表、2035年までにすべての電力消費を再エネで賄う目標を設定した。再エネ100%の目標を掲げる米国の都市の中では最も規模が大きい都市となった。
同計画ではこれに加え、省エネや、各分野の低炭素化を徹底して、温室効果ガスの排出量を2015年レベルから半減させる目標も打ち出した。市長のKevin Faulconer氏は同計画の発表に当たり、「意欲的な目標を掲げ、それを達成することで地球温暖化対策のリーダーシップをとっていきたい」と語った。
同市は、目標達成のためにエネルギー、水、廃棄物、交通などのセクターごとに細かく目標を立てて、「スマートシティ・サンディエゴ」というブランドの下に、官民共同でさまざまなプロジェクトを推進している。プロジェクトを立案し、参加組織間の調整を行うと共に進捗状況を管理しているのは、2007年に同市が産官学の組織として立ち上げた「Cleantech San Diego」というNPO(非営利団体)組織である(写真1)。

環境目標の達成と経済発展を両立
Cleantech San Diegoには、サンディエゴ市、UCSD(カリフォルニア大学サンディエゴ校)、米国海軍などの公的機関のほか、エネルギーなどのクリーンテック関連企業、ICT関連企業が数多く参加している。企業の参加を促すことで、「環境目標の達成と経済発展の両立を狙う」とCleantech San Diegoの担当者は言う。
参加企業には、同市を拠点とする大手電力会社のSDG&E(San Diego Gas & Electric)、サンディエゴに本社を持つQualcomm、米Intel、米Cisco Systemsといった大手企業が名を連ねる。このほか、米Baker Electric Solar、米Collective Sun、米Oneroof Energyといった地元の太陽光発電システム事業者、米Primo Windや米Wind Harvest Internationalなどの風力発電事業者、さらには都市のスマート化も大きなテーマであることから、IoT(モノのインターネット)関連の企業が多く参加。参加企業数は68社にのぼる(2016年12月現在)。