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第20回 英国・オークニー諸島――風力・潮力の余剰電力を水素に変換して需要地に運搬

再生可能エネルギーの出力抑制を余儀なくされる「余剰問題」を解決へ

藤堂 安人=日経BP総研 クリーンテックラボ【2018.6.6】

 英国スコットランドの北東、北海と大西洋の境界に位置するオークニー諸島で、スコットランド政府や地元自治体が中心となった大規模な水素プロジェクト「Surf 'n' Turf」がスタートした。

 オークニー諸島は風力発電や海洋エネルギーを活用した潮力発電などの再生可能エネルギーの適地であり、政府当局は再エネを活用して地域活性化につなげる方針を掲げている。ところが、風力発電所がどんなに発電しても、島内の送電網やスコットランド本土との海底ケーブルの容量に限界があることから、需要地に送電できずに出力抑制を余儀なくされる「余剰問題」が深刻化してきた。

 そこで代替案として取り組んでいるのが水素ストレージプロジェクト「Surf 'n' Turf」である。オークニー諸島のエディ島に設置された風力発電と潮力発電で発電したクリーンな電力を使い、水電解装置により水素を発生させて、同諸島の州都で需要地であるメインランド島のカークウォールに運搬。燃料電池で発電し、再び電力として使う(図1)。

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図1 「Surf 'n' Turf」プロジェクトの概要
エディ島に建設された再エネで発電した電力を水素に変えてタンカーでカークウォールに運び、燃料電池で発電(出所:Community Energy Scotland)

スコットランド政府の支援でスタート

 同プロジェクトの実施主体は、再エネの推進を目的とする公益財団であるCommunity Energy Scotlandである。さらに、海洋エネルギー関連の研究開発組織であるEMEC(European Marine Energy Centre)、オークニー諸島の当局であるOrkney Islands Council、エディ島の再エネ発電事業である英Eday Renewable Energy、水素ストレージの開発企業である英ITM Powerがパートナーとして参加している。

 スコットランド政府は、補助金制度のCARES(Community And Renewable Energy Scheme)とLocal Energy Challenge Fundを通じ、オークニー諸島に対して130万ポンドの補助金を支給。再エネの余剰問題は同諸島に限らず各地で起きており、同政府としてはこのプロジェクトをモデルケースとし、ソリューションを横展開していく狙いである。

 2017年9月27日には主要なストレージ設備の導入が完了。スコットランド政府のBusiness, Innovation & Energy省大臣のPaul Wheelhouse氏が参加して、カークウォール港で開所式を開催(図2)。これを受けて、本格的に実証が始まった。

図2 カークウォール港で開催された開所式
水素をエディ島から運ぶタンカー、水素運搬トレーラー、燃料電池などが導入された(出所:Community Energy Scotland)

 エディ島はカークウォールの北約15マイル(約24.1km)に位置する面積約10平方マイル(約25.9km2)の離島で、人口は150人である。遠浅の砂浜を持ち、洋上風力発電所の適地である。このことから、同諸島のコミュニティであるCommunity of Edayが合計900kWの風力発電所を建設し、運用会社としてEday Renewable Energyを設立した。

 同風力発電所は、発電量が送電容量を超えた場合に出力を抑制することを条件として建設されたNFG(Non Firm Generation)契約である。最近は発電量が送電網の容量いっぱいになるケースが増えて大規模な出力抑制を受けており、経済面でも機会損失を生んでいる。

 エディ島ではまた、同島西の狭い海峡で4m/秒の潮流があるため、EMECが潮流発電の実証プラントを建設している。海中12〜50mの深さに8基の潮流発電タービンを設置。11kVの海底ケーブルで結んで、エディ島の変電所に送り、ここで33kVに昇圧して系統網に接続している。

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