東アフリカ最大の経済規模を持つケニアで、同国の将来を見据えたスマートシティプロジェクト「Konza Techno City」の建設が進んでいる。
建設予定地は、ケニアの首都ナイロビの南東約60kmにある5000エーカー(約20km2)の原野である(図1)。2030年には20万人の人口を持つ都市を建設することを目指している。例えばニューヨークのマンハッタンのある区域(27km2に54万3020人)、ロンドンのゾーン1(12km2に24万540人)、ロサンゼルスの中心部(3km2に6万2480人)など、都市人口密度で中程度の都市を参考にしたという。
Konza Techno Cityは、ケニア政府が推進する国家プロジェクト。2030年に向けた経済発展ビジョン「Vision2030」におけるフラッグシッププロジェクトであり、公民連携によってICT産業や医療産業を誘致することを狙っている。
同プロジェクトの開発主体は、政府系機関KOTDA(Konza Technopolis Development Authority:コンザ・テクノポリス開発庁)である。KOTDAの担当者は、「Konza Techno Cityは、ケニアの経済発展の推進役になるもの。多くの企業と従業員を集め、快適な住居、都市空間を提供し、サステナブルでワールドクラスの技術ハブとなることを目指している」と話す。
1万6675人の雇用を創出、優秀なICT人材の国外流出を防ぐ
ケニア政府が同プロジェクトを計画した背景には、近年、ケニアではICT技術者が米国などに流出するケースが相次いでいることがある。「優秀な人材にケニアに留まってもらうためには、雇用環境が整った魅力的な都市をつくる必要がある」と担当者は言う。
Konza Techno Cityは、国際金融公社(IFC)の融資と支援を受けてスタートした。IFCは世界銀行グループの一機関で、貧困減少と生活改善を目的に新興国に対する投資支援や技術支援などを行っている。IFCの指導によって、1カ月に1回のペースで各分野の専門家で組織する委員会が開催され、プロジェクト管理や今後の進め方を話し合っている。IFCの支援を受けて、実施主体であるKOTDAが、2012年8月にマスタープランを担当する「MDP(Master Delivery Partner)1」として、米HR&A(プロジェクトリーダー)など6社を選定。MDP1が、ビジョン・ミッションを設定し、土地開発のマスタープランなどを策定した。
同プロジェクトの建設計画は、2014年にスタートしたフェーズ1から2030年に終了を予定しているフェーズ4まで4段階に分かれている。現在は、1.5km2規模のフェーズ1の建設が進んでいるところだ。フェーズ1では、2018年までにBPO(Business Process Outsourcing)とITES (Information Technology Enabled Services)などのICT系のアウトソーシングサービスを中心に1万6675人の雇用を創出するという具体的な計画を立てている。これにより、ケニアのGDPを2018年までに1%向上させたいとしている。