• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

世界の“自ら稼ぐ”都市

記事一覧

第6回 ドイツ・ハイデルベルク市、マンハイム市など−−自治体設立の総合インフラ企業「シュタットベルケ」に高い支持

藤堂 安人=日経BPクリーンテック研究所【2017.1.23】

 ドイツには、地方自治体が設立した総合インフラ企業が地域における電力、ガス、水道、通信、公共交通などのサービスを提供している。「シュタットベルケ」である。シュタットベルケは、全国規模のインフラ事業者などとの競争を通じて、地域社会に利益をもたらす。最近、地方創生の名のもとに地域エネルギー事業を活性化させようとする日本の企業や自治体の間で、その運営ノウハウに学ぼうという機運が高まっている。以下では、具体例として、ハイデルベルク市、マンハイム市、カールスルーエ市などのシュタットベルケを見ていく。

 シュタットベルケの歴史は古く19世紀の中ごろに遡る。多くは自治体100%出資の企業として発足してドイツの地域インフラを支えてきた。そのシュタットベルケがさらされた大きな試練が、1998年にスタートした電力市場の自由化だった。シュタットベルケにとって電力事業は収益の柱。ドイツではそれまで、電力事業については全国規模の8大電力会社と1000社近いシュタットベルケがシェアを分け合ってきたが、その構造が大きく崩れることが予想された。

 結果としては、電力自由化によって激しいシェア獲得競争が起き、8大電力会社については統合・合併を経て4グループに集約された。100社近くにのぼった新規参入企業の多くは倒産した。一方でシュタットベルケは、統廃合や大手エネルギー会社の資本を受け入れるなどの変遷を経たものの、多くは生き残った。現在は約1400社ものシュタットベルケが存在する。このうち、電力を供給しているシュタットベルケは約900社にのぼる。

図1 ドイツ国内におけるシュタットベルケの事業分野ごとのシェア
左から、水道、熱、ガス、電気。電気以外は50%を超えている。2006年と比べ、2012年はいずれも伸ばしている(出所:Klaus Heimann Consulting 2015レポート)

 1400社のシュタットベルケが提供するインフラサービスは、電力、ガス、水道、通信、さらには公共交通と多岐にわたる。事業領域ごとにシュタットベルケの市場シェアを見ると、水道、熱、ガスは50%超、電力も50%に迫る(図1)。しかも電力自由化前(2006年)に比べて、電力自由化後(2012年)はわずかだがシェアが伸びた。その傾向は今も変わっていない。シュタットベルケが電力事業でシェアを落とさなかった最大の理由は、さまざまなサービス強化により、地域ブランドのメリットを顧客に訴求できたことだと見られている。

各種インフラサービスとセット販売

 多くのシュタットベルケが取り組んだサービス強化の1つは、他のインフラサービスとのセット販売である。電力が自由化された国や地域では一般に電力とガスのセット販売であるデュアルフューエルが一般的だが、シュタットベルケは、地域企業にしか提供できない地域熱供給や水道、ガスとのセット販売を展開する。

図2 カールスルーエ市のStadtwerke Karlsruheの顧客向けサービスセンター
各種エネルギー機器や省エネの提案も展開(撮影:日経BPクリーンテック研究所)

 特に、シュタットベルケの多くは熱導管のインフラを所有して地域熱供給を展開している。これは全国規模の電力企業には全く真似できない。実際、筆者が訪問したカールスルーエ市のStadtwerke Karlsruheの顧客向けサービスセンターでは、電力よりもむしろ地域熱供給の説明パネルが目立ち、特に自宅近くに熱導管が通っている顧客に対しては購入を強く勧めていると説明していた(図2)。

 シュタットベルケはこうして、地域密着型の企業しか供給できないインフラサービスを提供し、そこに電力供給をセットで提案している。さらに、販売窓口や料金請求の一本化による簡素化や各種のセットメニューを展開してシェアを維持した。

企画・運営
  • 日経BP総研
健康ソリューション

<新設!>医療、福祉、スポーツ、ウォーキング、食育……「健康」と地域活性化を結び付けた取り組みが活発化しています。


お知らせ

記事サーチ

都道府県別記事一覧

「新・公民連携最前線」の掲載記事を都道府県別にご覧いただけます。「地方創生」「CCRC」「コンセッション」など注目キーワードの記事一覧も用意しました。

ページトップへ