• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

まちづくりマスター ~切り拓くものたち~

記事一覧

桂川憲生氏(岐阜県東白川村地域振興課 課長)

佐保圭=フリーライター【2016.8.19】

次なる挑戦、ECモールが6月にオープン

 現在、桂川氏は新たな仕事に取組んでいる。「住宅業が回復すると、次に総生産が低く推移しているのは、卸小売業でした」。かつて村民は主に村の中で買い物をしていたが、道路の整備やネットの普及で購買範囲が広がった結果、村民の村内での購買機会が減ってしまった。そこで桂川氏は、村外の購買者を増やそうと考え、村内の卸小売業のECモールをつくることにした。特産品の白川茶、生鮮野菜や米などの農産物、トマトやリンゴのジュースなどの加工品、檜の薪や檜でつくる神棚など、村のほとんどの店舗の商品を扱うオンラインショップだ。

 この取り組みを実現するには、サイト構築やデータ入力など、かなりの費用が必要だった。東白川村は、2015年度の地方創生加速化交付金およそ4000万円の交付を受けた。

 また、お土産店から豆腐屋まで、すべての店がパソコンを扱えて、クレジットカードで決済できる必要もあった。地域振興課の7人と地域おこし協力隊の3人の合わせて10人が、セミナーや勉強会でECモールとクレジットカード決済の知識とスキルを習得したあと、村じゅうの店舗を回って指導した。パソコンすらなかった高齢者の経営者の店に関しては、マンツーマンで面倒をみた。

 こうして東白川村ECモール「つちのこマルシェ」は、2016年6月29日にオープンした。

[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]
東白川村ECモール「つちのこマルシェ」の画面

「つちのこマルシェ」の本当の狙いはUターン促進

 確かに、売り上げが上がり、卸小売業が持ち直せば、雇用が生まれ、家族と暮らせるお年寄りが増えるかもしれない。ただ、いくらクレジット決済できたからといって、いきなり大きな売り上げが期待できるとは思えない。その点について尋ねると、桂川氏からは意外な答えが返ってきた。「このサイトの狙いは、ものを売ることだけじゃないんです」。

 調べてみると、これまで村で土産品を購入した人の大半が、休暇で実家のおじいちゃん、おばあちゃんのところに帰って来た子どもや孫たちだったという。桂川氏がコア・ターゲットにした「村外の購買者」とは、こうした東白川村の出身者たちだった。

 「東白川村で生まれた30歳から70歳までの人は約4500人います。そのうちの約1000人が村に残っていたとしても、残りの約3500人は全国に散らばっています。その人たちの所在を役場ができるかぎり把握して、雇用情報などの村の情報を送りながら、村とつながり続けてもらい、いつかは村に帰ってきてもらうことが、この取り組みの最大の目的です」

 桂川氏は続ける。「毎日、誰の顔も見ずに生活していた人が、家族としゃべって、笑って、ご飯を食べられるようになったら、すごい幸福じゃないですか。僕たち役場の人間の仕事は、何人そういう村民をつくれるか、村外で暮らす東白川村の出身者が村に帰って来られるように、村にどれだけ仕事をつくれるかっていうことだと思っています」。

役場と桂川氏。「フォレスタイル」の建築受注システムや「つちのこマルシェ」のECサイト構築のノウハウは「ほかの自治体から望まれれば喜んで提供する」という(写真:佐保圭)
[画像のクリックで拡大表示]
企画・運営
  • 日経BP総研


お知らせ

記事サーチ

都道府県別記事一覧

「新・公民連携最前線」の掲載記事を都道府県別にご覧いただけます。「地方創生」「CCRC」「コンセッション」など注目キーワードの記事一覧も用意しました。

pickup

ページトップへ