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「稼ぐ公民連携」基本十カ条

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第三条 地域に「覚悟ある民間」を見出せ

木下 斉=一般社団法人公民連携事業機構 理事【2015.7.9】

 前回の第二条では、岡崎が「民に委ねる覚悟」について書かせていただき、大変な反響をいただきました。

 これまでの公民連携は、行政が策定した仕様に予算を付けて民間事業者に執行させるスタイルが基本でした。そうした前例にとらわれず、事業全体を民間に委ねる「エージェント型PPP」は、これから日本における公民連携のあり方を大きく変えていく可能性を秘めています。

 しかしながら、単に民間に委ねるといっても、どこでもいいという話ではありません。「稼ぐ公民連携」において行政が組む相手は、地域内の「覚悟を持ち、自立して稼げる民間」でなくてはならないのです。

 また、いきなり公民合築のような大きなプロジェクトを進めるのではなく、まずは小さなことから始めていくのも一つのやり方です。

 今回の第三条では、この二点について説明していきます。

[画像のクリックで拡大表示]
札幌市の「大通すわろうテラス」。札幌市から「都市再生整備推進法人」の指定を受た札幌大通まちづくり(株)が、国道 36 号札幌駅前通の歩道部分に整備した。企業などに2週間単位で有料で貸し出している。いきなり難易度の高い公民合築に取り組む前に、もう少し小さなプロジェクトから「稼ぐ公民連携」を始めるのも一つのやり方だ(写真:札幌大通まちづくり)

民間が行政に逃げ込めば、すべては水泡に帰す

 前回説明した通り、「稼ぐ公民連携」実現のための「エージェント型PPP」では、行政が民間に予算をつけて業務を委託するのではなく、行政はその意思決定の基本を民間のエージェントに委ねます。その代わり、エージェントとなった民間事業者は、税金ではなく、金融機関と向き合って市中から資金を調達していくことを基本としています。

 開発した施設は、公共施設との合築の場合には、オガールプラザ(岩手県紫波町)のように民間施設の家賃と管理費で公共施設部分の維持管理コストも負担・低減し、持続可能性を高めることを目指します。さらに民間施設部分は当然ながら固定資産税を、底地が行政財産であればその使用料を自治体に納め、自治体の歳入増に寄与します。

 このように、行政と民間との関係における従来の資金面での流れは、「エージェント型PPP」においてはすべて逆転します。

 なぜなら、稼ぐ公民連携においては、稼ぐ機能をつくり出すのは民間の仕事だからです。つまり、民間は行政からお金をもらって仕事をするのではなく、むしろ民間は稼ぎ、行政にお金を拠出できるようにしていくところにその役割があります。

 行政が民間に委ねる覚悟を持つからこそ、民間は稼ぐことと向き合い、行政に頼らないことを信条とする必要があります。稼ぐ公民連携は、行政の「民に委ねる覚悟」と、民間の「行政に頼らない覚悟」との両輪によって回るのです。

 このいずれかが崩れたら、稼ぐ公民連携は機能しません。

 もし民間が「銀行との融資交渉をしていて、なかなか話がまとまらない。やはり自治体に補助金を出してもらって民間施設部分も開発費を安価に済ませられるようにしよう。そうすれば、必要な融資額も少なくなるし、収支も楽になる」などと考えてしまえば、最初から行政が仕様を策定して補助金を出す従来型の公民連携事業と何も変わらなくなります。これでは行政の財政支出によって、民間の稼ぐ機能の不足を補うだけです。

 その行政支出は、世の中の別のところで稼いだ余剰資金から徴税したもの、もしくは次世代への借金です。これではタコ足食いとなり、地域活性化にはつながりません。

 オガールプラザの場合、岡崎は18カ月リーシングに時間を費やしつつ、設計チームと組んで出資・融資が成立する水準まで建築計画などの見直しを徹底的に図っていきました。行政からの支援に頼るのではなく、あくまで営業と開発規模の調整で採算性を実現しようとしたのです。

 行政と連携することと、慣れ合いになることとは全く別の話です。エージェントは、あくまで自立し、行政に頼らず資金調達し、事業を構築しなければなりません。

 行政はそのような自立した民間事業者を地域内に見出し、パートナーシップを構築していかなくてはならないのです。民間ならどこでもいいわけではありません。仕様に沿って予算の範囲で従順に仕事するような民間事業者でいいわけがないのです。つまり、従来行政が付き合ってこなかったような、全く異なる自立した民間と組む必要があるのです。

 この時、民間の稼ぐ取り組みに対して、途中で行政側が中途半端に介入したりすれば、「エージェント型PPP」による稼ぐ公民連携は成立しません。「民間を助けることが大切だ」という視点そのものがここでは間違いなのです。互いがフェアな関係のもとにそれぞれ自立しなければならないのです。

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