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PPP/PFIと公的不動産のいま

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第9回 上下水道事業の官民連携に「コンセッション方式」による民営化は最適か?(後編)

解説:福島 隆則=三井住友トラスト基礎研究所投資調査第1部主席研究員、構成:坂井 敦=フリーランス【2017.6.26】

前回は、空港や道路などと比べて上下水道へのコンセッション方式の導入が進まない現状や、その背景について考察した。その上で、上下水道事業の官民連携手法として、「コンセッション方式は本当にふさわしいのか」という疑問も投げかけた。今回は、国内外の様々な事例を概観した上で、日本の上下水道事業にふさわしい官民連携の形を考えていきたい。

 実は、世界の上下水道事業(以下、水道事業)のあり方はバラエティに富んでいる。公共による運営が主流の国もあれば、民間運営が一般化している国もある。米国などでは、州によってもあり方が異なる。また、先進国は民営化が進んでいて、新興国は公営が中心という単純な図式も成り立たない。新興国では、重要なインフラである上下水道を早急に整備するニーズが強く、最初からPPPを導入する国も少なくないためだ。

 そうした中で、水道事業の民間運営の代表格と言えば英国になるだろう。いわゆる「完全民営化」が実現しているためだ。例えば英国の代表的な水道事業会社である「テムズ・ウォーター」は、元々は地域の水道公社(Thames Water Authority)であった。しかし、施設の保守管理に必要な財源を確保するなどの目的で、当時のサッチャー政権の下、民営化された。民間企業となった後は、英国国内に留まらず、海外展開も積極的に行うようになった。そして現在では、フランスの「スエズ・エンバイロメント」や「ヴェオリア・ウォーター」とともに、「世界3大水メジャー」の一つと称されている。

 しかし英国のように、水道事業が完全に民営化されているところは、むしろ“まれ”だ。例えば「世界3大水メジャー」のうち2つの企業の母国であるフランスでも、「アフェルマージュ」と呼ばれるコンセッションや包括委託(後述)に似た仕組みが広く使われている。水道事業を完全に民営化することについては、「人の命に関わる重要なインフラを、利益獲得が至上命題である民間企業に任せていいのか」という議論に繋がりやすく、心理的な抵抗が大きい。実際、英国でも、最近のテムズ・ウォーターの不祥事により、「水道事業を民営化したのは間違いだったのではないか」との議論が出てきていることは、前回のコラムでお伝えした通りだ。

 ただ、留意したいのは、英国においても一定の監督権限は公共側に残している点である。水資源の管理や水環境の規制、洪水防御などを実施する環境庁、飲料水質評価や料金監察を行う飲料水監察局(DWI:Drinking Water Inspectorate)、水道事業経営の監視や消費者保護を行う水道事業規制局(Water Services Regulation Authority、通称OFWAT)などが、民間の水道事業者に対して一定の権限を保持し、ライフラインとしての安全性や社会性を担保している。この点は、今後日本で水道事業の官民連携を考えていく上でも、大いに参考になるだろう。

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