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PPP/PFIと公的不動産のいま

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第8回 上下水道の官民連携に「コンセッション方式」による民営化は最適か?(前編)

解説:福島 隆則=三井住友トラスト基礎研究所投資調査第1部主席研究員、構成:坂井 敦=フリーランス【2017.4.18】

空港や道路に比べると、上下水道セクターへのコンセッション方式の導入は、あまり進んでいない。利用者側に染みついた「水道事業=公営」という考え方や、公共側の民営化への抵抗感など、根本的な問題が壁になることも多い。こうした現状を踏まえると、上下水道に官民連携は必要なものの、コンセッション方式による民営化が最適なソリューションなのかという疑問も生じてくる。

 公共施設やインフラに対するコンセッション方式の導入では、空港や道路セクターが政府の数値目標を達成している。これらセクターとは対照的に、苦戦を強いられているのが上下水道セクターだ。政府は2016年度までに、上水道・下水道それぞれ6件ずつのコンセッション事業に取り組むという目標を掲げていたが、いずれも未達に終わっている。

図1 現在進行中のコンセッション事業
(資料:三井住友トラスト基礎研究所)
[画像のクリックで拡大表示]

 上水道は、大阪市や奈良市などで準備・検討中の案件はあるが、6件の目標には届かなかった。下水道も、3月に浜松市で優先交渉権者が選定されたほか、奈良市、三浦市、大阪市などで準備・検討中の案件はあるが、6件の目標には届かなかった。ただ、政府としてもこれで終わりではなく、上水道は期間を2018年度末まで、下水道は2017年度末まで延長し、引き続き目標の達成を目指す方針のようだ。

根強い「水道事業=公営」という考え方

 上下水道セクターでコンセッション方式による民営化が進まない要因については、さまざまな点が指摘されている。まず、上水道においては、そもそも利用者側の民営化に対する懸念が強く、賛同が得られにくいという点が挙げられる。人が口にする“命の水”を、民間運営に委ねることへの心理的な抵抗感と言ってもいいだろう。

 また、民間と言っても日本の会社とは限らない。水道運営会社が民営化され、その株式が無制限に流動化されれば、海外の会社が日本の水道を運営することになるかもしれないのだ。

 ただ、こうした懸念はあまり論理的ではない。同様に人が口にするものでも一般の食品であれば、民間の会社が作ったものでも、他国から輸入したものでも平気で食べているはずだ。論理的ではないことを理解しつつも、水については寛容になれない。「水道事業=公営」という考え方が、既成概念になってしまっているためでもあるだろう。

 一方、下水道については、雨水処理の問題が民営化の障害になることも多い。日本の下水道は、「分流式」と「合流式」に分かれる。前者は生活排水などの汚水と雨水をそれぞれ別々の管渠に、後者は同じ管渠に流す方法である。後者の「合流式」は、比較的早い時期に整備された都市部で多く見られる。

 雨水処理では、台風や豪雨など災害への対策が必須となる。しかし、こうした対策は、国や自治体の施策と完全に切り離すことは難しいため、下水道事業自体、民営化に向いていないとする意見もある。

 その他の要因として、自治体の担当部局における民営化への抵抗感というものもあるだろう。日本の上下水道事業の多くは、各自治体の「水道局」や「企業局」といった「公営企業」が運営している。公営企業は、料金収入で事業費用を賄う独立採算制をとっており、「公営企業債」を発行して独自に資金調達もできる。自治体の中の一組織とはいえ、非常に独立性が高い。こうした職員の間には、民営化によって雇用や待遇が脅かされるのではないかという懸念も強いようだ。

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