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新・公民連携 円卓会議 2016

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地方創生・8つの視点(3) 建築

世界を意識した地域独自の空間を

隈 研吾 氏 建築家、東京大学教授

構成:守山 久子=ライター【2017.3.31】

 建築設計者として地域と関わる仕事は、大きく3種類に分かれる。

 第1は、地域のパブリックな建築の設計。その建築を通じ、地域のコミュニティに対して何らかの貢献を行う。思い出深い事例に、新潟県長岡市の市役所「アオーレ長岡」がある。通常の市役所機能のほかに、地域の人々のコミュニティの場となる土間空間「ナカドマ」を設け、人口28万人の長岡市で来場者数は年間約130万人と、市役所としては考えられない規模の人が集まっている。地域の素材をふんだんに盛り込み、地元経済を活性化させるという側面もあった。

くま・けんご
1954年横浜市生まれ。1979年東京大学建築学科大学院修了。2009年より東京大学教授。1997年「森舞台/登米町伝統芸能伝承館」で日本建築学会賞、2010年「根津美術館」で毎日芸術賞受賞、2011年「梼原・木橋ミュージアム」で芸術選奨文部科学大臣賞など受賞多数。全国的に注目度の高い新歌舞伎座や新国立競技場などのほか、地域の素材を生かした建築を国内外で多数手掛ける。新潟県長岡市に2012年4月に開館したシティホールプラザ アオーレ長岡は、屋根付き広場「ナカドマ」を中心に市役所、アリーナ、市民活動の場、議会が集まる市民協働型の賑わいを生む公共建築として大きな話題となった。著書に『負ける建築』 (岩波書店)、『広場』(共著・淡交社)など多数(写真:北山 宏一)

 第2は、リゾート開発を通して地域に貢献する仕事だ。2000年に中国の万里の長城の近くに「竹の家」を設計して以来、地域の素材を使い、その地域の環境に調和したホテルやサービスアパートメントなどを設計してほしいという依頼が世界中から届く。

 地域密着型の観光振興を目指すプロジェクトは世界の潮流といえる。こうした仕事は観光資本に使われているともいえるが、僕が関わることで地域の素材を発見し、地方に対するお返しができるという思いで携わってきた。

新しい可能性を開く「プロデュース」

 第3はプロデュース的な動きをするもので、まれに機会が訪れる。いわゆるソーシャル・デザインとかコミュニティ・デザインと呼ばれるアプローチである。

 例えば、バリ島などでリゾート施設を運営しているインドネシアの人から、リゾート施設ではなく、従業員の住む村を地元の素材を使ってつくるというプロジェクトの話が来ている。ここでは観光資本の意向に沿うのではなく、僕自身が主体性を持って仕掛けていく。東京でいくつかプロデュースしてきたシェアハウスでは、若い人のコミュニティづくりを行った。ここでは、お金の工面に始まり、プロデューサーとして動いている。

 少し系統は異なるが、最近、アウトドア用品のスノーピークと組んで、地域産の木を用いるトレーラーハウスのプロジェクトも進めている。住居だけでなく、レストランやバーなどの店舗として利用することも視野に入れながらプロデュースしている。

 こうした第3のタイプのプロジェクトは、建築に新しい可能性を切り開く絶好のチャンスなので、事務所にとってビジネスにならなくても参加するようにしている。

 このような国内外でのプロジェクトを通じて感じるのは、日本の地方は、行政職員や首長などは優秀だが、世界に対する発信力が弱いということ。大きな世界的なマップが描けていない。まずはもっと自信を持ち、世界を対象に発信してもよいのではないか。

 建築家は2000年以降、世界マーケットで競争する存在となったので、世界の中での位置が分かる。なので、そうしたマップを描く手助けはできると思っている。(談・2016年12月22日)

企画・運営
  • 日経BP総研


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