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新・公民連携 円卓会議 2016

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地方創生・8つの視点(1) CSV

バリューチェーンを見据えた利益の創出を

赤池 学 氏 ユニバーサルデザイン総合研究所所長、CSV開発機構理事長

構成:守山 久子=ライター【2017.3.31】

 CSV(Creating Shared Value)とは、ハーバード大学のマイケル・ポーター教授が2011年に提唱した概念で、日本語では「共有価値(共通価値)の創造」と訳される。事業益と公益を両立させる事業開発を行わないと、民間企業の未来はない、という考え方だ。

あかいけ・まなぶ
1958年東京都生まれ。1981年筑波大学生物学類卒業。インダストリアルデザイナーとして、環境・福祉対応の商品・施設・地域開発を手掛け、地方自治体の産業創出プロジェクトにも数多く参画。「千年持続学」「生命地域主義」などを提唱するジャーナリストとしても活動し、ウッドデザイン賞、キッズデザイン賞、FOOD ACTION NIPPON AWARDの審査委員長などを歴任。環境共創イニシアチブ、サービスデザイン推進協議会の代表理事も務める。グッドデザイン賞金賞、JAPAN SHOP SYSTEM AWARD最優秀賞、KU/KAN賞など、受賞歴多数。著書に『ほんとうのたべものを求めて』(日経BP社) 、『CSV経営』(共著・NTT出版)、『昆虫がヒトを救う』(宝島社新書)、『生物に学ぶイノベーション』(NHK出版新書)など(写真:北山 宏一)

 ポーター教授は、CSVが求められる時代に企業に求められる姿勢は「ユニークになるために戦うこと」だと語っている。それは、過去の成功や失敗にとらわれず、「ユニークな事業を構想すること」、ユニークな事業を社会実装するために、「ユニークなバリューチェーンを構築すること」、さらに、事業の中で、「やらないことを決めること」である。

多様なステークホルダーにメリットを

 次に、CSVを具現化していくうえでヒントになるキーワードを挙げていきたい。

 まずは、ユニバーサルデザイン。ユニバーサルデザインの提唱者である建築家のドナルド・メイス氏は、ユーザーだけでなく、供給者側も含めた多様なステークホルダーに対してメリットを提供していくことが、その本質だと説いている。「Design for all」という考え方だ。

 分かりやすい例で言うと、地域産の木材を用いた家づくりがそうだ。調湿性を備えた木が室内環境を改善させ、居住者に健康を提供する。同時に、地元の木材を活用することで、林業従事者や製材事業者など、山づくりを含めた地域の産業にも寄与できる。このようにバリューチェーン全体を見渡し、関係する事業者にまでメリットを与えていくことが、正しい意味でのユニバーサルデザインだと思っている。

 2つ目は、ウェルネス(健康)。省エネルギーや創エネルギーに配慮したスマートな住宅やビルは、ここ最近ずっと普及促進が行われてきたが、現在はさらに健康(ウェルネス)の視点も欠かせない。身体だけでなく、精神的、社会的にも、生活の中で人々を健康にする、心地よさや幸せ感を備えた家や建物づくりが求められている。

 3つ目が「食」。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、海外からの観光客をおもてなしするためのポイントとなるのは「食」であり、安全・安心を大前提としつつ、付加価値の高い「農芸品」(工業製品の「工芸品」に相当するもの)の開発が重要になってくる。デザインやテクノロジーを駆使して付加価値を高め、海外でも高く売れる農芸品の開発と流通を考えていくことが、地域の活性化にもつながる。

 そして4つ目が、国土強靭化だ。我々はグリーン・レジリエンスという考え方を提唱してきた。浜松市の「緑の防潮堤」のように、災害時だけでなく、平時における地域の自然資本や生態系サービスまでを視野に入れたインフラ整備の考え方のことだ。

 こうした様々な取り組みによって、地域に元気を与える支援をしていきたい。(談・2016年12月22日)

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