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人口は減っても元気なまちづくり

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第6回 和歌山県有田川町――民間・若者が中心となり“日本のポートランド”を目指す

佐保 圭=フリーライター【2017.7.4】

まちの将来を担う若手が「自分ごと」として参画

 教育と子育て支援には投資を惜しまず、町民視線から積極的な取り組みを展開してきた中山町長は「そういうことが、やっぱり、効いている」と語る。この中山町長の言葉どおり、この教育と子育て支援の取り組みは、町の人口減少の食い止めにも影響を及ぼしているように思われる。

 有田川町の人口は、1955年が4万1529人(吉備町、金屋町、清水町の合計)、1975年は3万1311人(同)、1995年に2万9703人(同)、2010年には2万7162人(ここまでの数値は国勢調査より)、2017年4月30日現在は2万7019人(有田川町発表)と減り続けてきた。

 人口減少の原因の1つとして、町内に大学を持たない有田川町では、主に進学・就職による若年の大幅な転出超過が続くことが挙げられる。実際、2000年以降、純移動はずっとマイスだった。

 しかし、住民基本人口に基づく推計値では、2010年から2015年にかけて、20歳代から40歳代前の転入超過が大幅に回復し、全体として純移動が再びプラス(社会増)に転換した。

有田川町の人口増減(有田川町作成「人口ビジョン」より)
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 「一昨年から、和歌山県の企画課で1年間の人口動態をやっていますが、2015年度の有田川町の人口は社会増が59人。2016年度は社会減で9人。県下での社会減の少なさは2番目か3番目です」(中山町長)。

 そんな有田川町にも、3年前、衝撃的なニュースが飛び込んできた。2014年5月、日本生産性本部の日本創成会議・人口減少問題検討分科会(座長・増田寛也元総務相)が「消滅自治体リスト」を発表し、若年女性人口が2040年までに半数以下に減る896の自治体は「消滅可能性自治体」と呼ばれ、有田川町もその1つに挙げられていた。

 このときから、有田川町では「若者と女性を増やすこと」が喫緊の課題となった。

 2014年12月、石破内閣府特命担当大臣が記者会見で「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の臨時閣議での決定を発表し、各地方自治体でも「地方版総合戦略」を作り上げてほしいと訴えた。

 有田川町では、県主催の会議に参加するなどの準備・研究期間を経て、2015年5月、「有田川町 まち・ひと・しごと創生総合戦略」の作成がスタートした。

 この作成作業で中心的役割を果たした有田川町役場 総務政策部 企画財政課の高垣昌弥氏は、当時をふり返る。「まず町長のところに行って『40歳以下のメンバーで総合戦略の叩き台をつくらせてください』とお願いしました。2040年、2060年の人口ビジョンを立てるには、そのとき(20年後、30年後に現役で活躍しているメンバーでつくるのが一番いいと思いました」。

有田川町役場の高垣昌弥氏(写真:佐保 圭)
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 このような重要な計画書の叩き台を役場でつくる場合、課長クラスもしくは各課のスペシャリストで行うのが通例だ。いくら正論であっても「若い職員だけで」などということは無茶な話だった。当時、町長は、なんと答えたのか。

 「町長は『あ、いいよ』って、ひと言返事でした。止められることは滅多にありません」と高垣氏は笑った。

 結局、「有田川町 まち・ひと・しごと創生総合戦略」の叩き台は、21歳から最高齢は当時39歳(高垣氏)の13人の若いチームがつくられ、それを地域住民が参加する総合計画審議会にかけ、50歳を超える役場の部長クラスで構成されるまちづくりの創生本部会議にかけ、また、若いチームに戻すということをくり返し、2015年10月に完成させた。

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