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麓幸子の「地方を変える女性に会いに行く!」

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川を中心にまちを再生、目指すは小さな世界都市

Vol.06 森山奈美さん 御祓川代表取締役社長

聞き手:麓幸子=日経BPヒット総合研究所長・執行役員、取材&文=西尾英子【2016.10.12】

能登半島地震で川添いから能登へ事業展開をシフト

(写真:鈴木愛子)
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――社長に就任した2007年には能登半島地震が発生しています。この地震が、事業の転機になったそうですね。

森山:それまで川沿いにギャラリーや飲食店を出店するなど、まちの賑わい作りには貢献してきたけれど、その運営に手いっぱいで、広い視野でまちづくりを支えるという役割は果たせていませんでした。それに気づかせてくれたのが、能登半島地震だったんです。復興に向け、まちづくりを進めるなか、「私たちだけでは間に合わない!」と痛感しました。その一方で「地域のために立ち上がろう」という人たちも増えていました。その動きをサポートしたのが、小規模の体験交流型イベントなどを通じ、地域を活性化させる「オンパク」(※)です。同年、「能登旨美オンパクうまみん」を立ち上げ、能登に住む人が能登の魅力を伝える場を作りました。

※「オンパク」とは「温泉博覧会」の略語。この取り組みは、観光客の減少で活気を失いつつあった自分たちの地域を元気にすることを目的に、01年大分県別府市で始まった。「プログラム」と呼ばれる多数の小規模の体験交流型イベントを短期間に開催、住民が参加交流することで地域の魅力を再認識する見本市的イベント事業。現在全国で展開されており、19地域で開催されている(ジャパン・オンパク公式ホームページより)

 この仕組みは、2015年に設立した「御祓川大学」にも流用しています。地域の人たちが何かをやりたいというチャレンジの場を作り、実現する。御祓川大学では、それを講座という形で提供しています。

――七尾から能登全体に視野を広げた事業展開へシフトしたのですね。

森山:中期事業方針で「川沿いから能登へ」を掲げました。2008年には、地域の事業者が販路を広げるための中間支援として、能登の魅力的な商品を扱ったネットショップ「能登スタイルストア」をスタート。現在、90弱の事業者さんと取引をしています。復興について地域の人たちと話し合う中、多く聞かれたのが「若い者がおらん」という声です。そこで、2010年に長期実践型インターンシップ「能登留学」を始めました。

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能登半島地震をきっかけに「川沿いから能登へ」と事業展開。能登の魅力的な商品を扱ったネットショップ「能登スタイルストア」をスタート。写真は本社を置く「banco」(4ページ)でも販売されている「能登スタイルストア」の商品(写真:鈴木愛子)

――「能登留学」は、どういった仕組みなのですか?

森山:能登の事業者のもとで、他の地域の大学生が最低3カ月~半年間のインターンシップを行う研修プログラムです。インターン生にはインターンハウスというシェアハウスに住んでもらいます。

 受け入れ先の選定やプロジェクトの設計は、私たちの重要な仕事です。受け入れ先になりそうな事業者にヒアリングに行き、そこの企業の課題を探し、インターン生と一緒にやれそうなプロジェクトを設計します。単に無料バイトで来てほしいとか、自分たちが教えてやろうという姿勢の企業は、お断りしています。最近では、社内の人材育成の仕組みを作りたいという目的で、能登留学を活用する企業もいますね。

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「若者がおらん」という事業者の声から生まれた長期実践型インターンシップ「能登留学」。県内外からインターン生を受け入れ、地元企業とマッチング。bancoやギャラリー葦にも若いインターン生の姿があった(写真:鈴木愛子)

――単なるマッチングではなく、ヒアリングをしながら地元企業の課題を抽出し、プロジェクトを組むところまで関わるのですね。

森山:マチを育てることは、ミセを育てることでもあります。そのミセがマチにとって必要であり、常にチャレンジを続けている。そういう状況をつくりたいんです。そのために一番重要なピースは、やはり「ヒト」です。能登留学は、立ち上げ時のみ公的資金が入っていますが、今は企業からのマッチングフィーで運営しています。これまで106人のインターン生を輩出し、6~7人ほどが能登に移住しています。

――移住・定住は、多くの自治体にとって最重要課題のひとつです。どのように交流から移住へとつなげているのでしょうか。

森山:私たちは移住を出口にしていないんです。別に移住や定住をしなくても構いません。期間限定だからこそ思いきったチャレンジをすることもできますし。「来てください」と一方的に言うのではなく、来たいと思ってもらえる魅力づくりが大事。主体的にまちに関わってもらえる人が来てくれるのが理想です。

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