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特集「就農支援のいま」

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「ホームレス農園」という“農福連携”の新たなかたち

制度の後押しが進めば、さらなる広がりも

文:高山和良=ライター【2017.3.1】

『ホームレス農園』――。そう呼ばれる農園が神奈川県藤沢市にある。運営するのは一人の女性起業家。体験農園とネットでの農産物販売という事業を営みながら、ホームレスや引きこもりの人に、農業を教えながら社会復帰の後押しをしている。これまで72人の研修生を受け入れ、31人を就農もしくは就労に導いた。農業と福祉の連携、いわゆる“農福連携”の新たなスタイルとして関係者の注目を集めている。

小島希世子(おじま・きよこ)さん
株式会社「えと菜園」代表取締役。慶應義塾大学卒業。幼い頃から農業を志し、大学在学中から農業に道を求める。現在はえと菜園で体験農園と故郷の熊本産の農産物をネットで通販する事業を営みながら、NPO法人「農スクール」を運営する。著書に『ホームレス農園』(河出書房新社)。「えと菜園」のサイトはhttp://www.eto-na-en.com/ 「農スクール」のサイトは http://know-school.org/(写真:高山 和良)
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 ホームレスや引きこもり、生活保護受給者の人たちに農業を教えながら彼らの社会復帰を助けるユニークな取り組みを続けている女性起業家がいる。その人は小島希世子(おじま・きよこ)さん。年間100世帯ほどのユーザーが野菜づくりを楽しむ体験農園と、自らが選りすぐった農産物のネット通販という、二つの事業を展開する株式会社「えと菜園」(えとなえん)の代表取締役を務める。

 体験農園は藤沢市葛原にある。名称は「コトモファーム湘南藤沢」。ここでは一般のユーザーが、7坪(約23m2)ほどの畑を借りて指導を受けながら農業体験を楽しんでいる。ネット通販の事業は、小島さんの故郷でもある熊本県の提携農家から栽培法や安全性にこだわった米や小麦、野菜、加工品などを販売している。

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 その小島さんが手がけるもう一つの事業が、農業を通じた社会復帰を支援する特定非営利活動法人(NPO法人)「農スクール」だ。藤沢の農地にはコトモファームの体験用農園とは別のエリアに研修用の畑があり、ホームレスや引きこもりなど、様々な背景を持つスクールの生徒たちが就農支援プログラムとして野菜作りをしている。2014年には自らの活動を自著『ホームレス農園』にまとめて発表。これで世の中に広く知られるようになった。特に、ホームレスや生活保護などの問題を抱える自治体や、行政からの要請を受けてこれらの問題に対応しているNPO法人などからは、農業と福祉が連動する“農福連携”の新しいあり方として大きな注目を集めている。

 小島さんがこの取り組みを始めたのは2008年のこと。もともと「農家になりたかった」小島さんが市民農園を借りてスタートさせた家庭菜園塾「チーム畑」で、平日に畑を管理するためにホームレスの人をアルバイトで雇用したのが始まりだった。そもそもの発想はいたってシンプルで、「働きたくても仕事がないホームレスと、仕事があるのに働き手がいない農家を結び付ければ」と考えたのがきっかけだ。

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