今回は、ITを活用した農業「スマートアグリ」のお話です。ITの活用が進んでいる日本ですが、こと農業に関しては他の国と比べて遅れているのが実情です。
 しかし、そんな遅れを取り戻せる「強力な武器」が日本にはあります。それは「ロボット工学(ロボティクス)」です。スマートアグリにロボット工学を組み合わせることで、近い将来、日本の農業はどう変われるのか――。今回はこれについて考えてみました。好評の近未来仮想ストーリー「ちょっと先の未来」第6話スタートです!

「ちょっと先の未来」 第6話

202X年の秋、都内にある会社のオフィスで、昼休みにタブレット端末を操作しているビジネスパーソンS氏の姿があった。一見、オンラインゲームで遊んでいるように見えるが、実は違う。S氏は、遠く離れた場所にある自分の農地で収穫作業を行っているのだ――


S氏:…う~ん、いまいち生育が良くないなぁ…AIのオススメ通り、『追加暖房サービス』を入れた方が良かったかな…


後輩A:先輩! 何やってるんですか? また「農業」ですか?


(写真:PIXTA)

S氏:いや~、先週から北海道、冷え込んじゃって。気温が下がって困ってるんだ…


後輩A:いま、まだ9月半ばですよ。こっちはエアコンがないと暑くてしかたがないのに


S氏:大陸から寒気が入ってきて、一部の山沿いでは雪降ったとか。冷害注意報が出ている地域もあったし


後輩A:でも、インターネット野菜工場って、建物の中なんでしょ。外が冷え込んでも、中は大丈夫なのでは?


S氏:そうなんだが、僕の契約している野菜工場は、密閉型ではなく、半開放型なんだ。だから、外気の気象の影響を受けてしまう。「気温コントロールサービス」もあるが、“ベストエフォート”すなわち最大限の努力をして調整に務めてはくれるけど、自動調整可能な限度を超える事象、たとえば今回のような急激な冷え込みが続くような場合はさすがに対応できない。こういう場合は、追加費用を支払って「追加暖房サービス」を頼めばいいけど、そこはユーザーの判断なんだ。リスク覚悟で「なるべく安く済ませたい」というユーザーもいるからね。


後輩A:ふーん、なるほど。なかなか難しいんですね


S氏:夏の後半から日照が弱かったのも悩みなんだよね。冷害と合わせ、作物の成長に影響が出てしまう。それを見越して「農業コンシェルジュ」が追加暖房サービス導入をはじめ色々とアドバイスしてくれてはいたんだが、結構お金がかかるので躊躇していたら…このざまだ。


後輩A:農業コンシェルジュって、AI…人工知能なんですよね?


S氏:ああ、そうだ。農業コンシェルジュの支援と、実作業を代行する「ファームレス農業支援サービス」があるから、俺みたいな農業の知識や経験のない素人でも、お金さえ払えば農業ができるわけだ。


 S氏は、会社員と農家の兼業だ。しかし、実家が農家だったわけではなく、農地も持っていない。都内に住んでいる、いわゆる「ファームレス農家」である。自分の農地はないが、北海道のインターネット野菜工場の一区画の畑を年間契約でレンタルしている。

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