今回は、最近テレビや新聞などで見聞きする機会が増えてきた「プログラミング教育」のお話です。文部科学省が4月、2020年度から義務教育におけるプログラミング教育を必修化するという方針を発表してから、子供たちへのプログラミング教育が大きな話題となっています。
 そこで今回は、近い将来、「プログラミング教育の普及によって、もしかしたら身のまわりでこんなことが起こるかもしれない」というストーリーを考えてみました。
 登場するのは、第4話『鬼監督は女子高生!? 高校野球も「AIで勝つ」時代が到来!』で活躍した女子高生マネージャー N美の家族です。いったいどんな展開が待ち受けているのでしょうか。好評の近未来仮想ストーリー「ちょっと先の未来」第5話スタートです!

「ちょっと先の未来」 第5話

時は202X年。ここはとある小学校の5年3組の教室。子供たちのにぎやかな声が響く教室の中を、廊下からそっとうかがう女性の姿があった――。

(写真:PIXTA)
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「ふーん、こんなふうに勉強しているのか」


 教室を覗いている女性は、N美の母親だ。県立H高校・野球部マネージャーであり、AI(人工知能)を使いこなす“鬼監督”でもある高校3年生のN美(第4話参照)には、この母親のほか、中学2年生の弟(長男)と小学5年生の妹(次女)がいる。母の年齢は<秘密事項>だが、職業はデザイナーで、現在はデザイン会社の社員である。


 会社員といっても、テレワーク(在宅勤務)が主であり、出社することはせいぜい年に数回程度。20年数前にデザインの仕事を始めてからずっと、自宅でパソコンとインターネットを使って仕事をこなしてきた。そのため、パソコンの操作やインターネット接続に関する知識にはそれなりに自信を持っていた。


 だが、所属するデザイン会社も最近は2Dのイラストデザインよりも「VR(仮想現実)」向けの3D空間や3Dモデルをデザインする仕事が増えてきており、これまで培ってきた2Dデザイン向けアプリケーションのスキルだけでは仕事が取りづらい状況になりつつあった。そのため、「もっとITの知識が必要」と感じ始めていた。


202X年には世の中で求められるITスキルが大きく変わる

 N美の母親が今日、子供の教室を覗きに行ったのには理由があった。先日、N美が「参考書を買う」と言ってネットで購入した電子書籍のリストを後からチェックしたところ、学習参考書ではなく「データ分析活用(上級編)」や「実践 ○○AIサービス」など、IT関連の本が並んでいた。


 「3年生で入試も近いのに、勉強もせず何をやっているの?」と一瞬思ったもの、202X年に実施された学習指導要領の改訂で、偏差値重視の詰め込み型教育から、「アクティブラーニング」を主体とした能動型教育に変わっていたことを思い出した。大学入試においても、テストの点数よりアクティブラーニングで何をどう学び、どのような成果を出したかを重視するようになりつつあった。


(写真:PIXTA)
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「私たちの時代とはすっかり変わってしまったわね。IT関連の授業がたくさんあるみたいだけど、いったいどんなことを学んでいるのかしら。ちょうど授業参観があるそうだし、こっそり見に行ってみようかな。子供たちには黙っておいて」


 前述したように、N美の母は最近、ITを使いこなすためのスキル不足をひしひしと感じている。そんなわけで、子供たちが学校でどのようなIT教育を受けているのか興味を持ったのだ。まずは末っ子の小学校を訪ね、ちょうど行われていたプログラミング学習授業の様子をそっと見学することにした。それが冒頭のシーンである。そこでN美の母が見たものは……。


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