A君は、「自動運転免許」を取りたての新米ドライバー。最近できたばかりの彼女であるCさんとの初めてのドライブデートは、快適な自動運転で目的地へ一直線、その後は……となるはずだった。ところが、不運にも高速道路上で追突事故に巻き込まれそうになり、なんとか避けることができたものの、今度は自動運転が機能しない状態に陥った。
 ぶっつけ本番の手動操作により、なんとかサービスエリア(SA)の駐車場までは車を進めることができたものの、ここでも大きな試練が! 自動運転“限定”免許を持つA君は、車庫入れのやり方を一度も習っていなかったのだ。でも、彼女の前で赤っ恥はかきたくない。大ピンチだ! どうするA君?――。

 ここまでが前回のお話でした。詳しくは『第2話:「自動運転車」で初めてのドライブデート、そのとき事件は起こった!』をご覧ください。さて、A君はどうこのピンチに立ち向かうのでしょうか。その後にA君たちを待ち受けている運命は? 好評の近未来仮想ストーリー「ちょっと先の未来」第3話スタートです!

「ちょっと先の未来」 第3話

202X年、とある高速道路SA内の駐車場で、A君は内心焦りまくっていた。付近で起こった大きな事故の影響により、自動運転システムが使えなくなり、連動して自動車庫入れ機能まで動作しなくなっていたからだ。目の前に空きスペースがあるのに、車はじっと止まったまま。しばらくすれば自動運転機能が回復するだろうが、それまでここでじっと待っているわけにもいかない。いったいどうすればいい?――。

(写真:PIXTA)

 頭をフル回転させて考えた結果、A君の頭をある考えがよぎった。急ぎダッシュボードのメニューボタンを押し、「…ええっと、きっとどこかにあるはずだ。大昔からある機能だから。あった!」とモニター上に並んでいる項目の一つをタッチした。


 すると、車から「ただ今より、車庫入れアシスト機能を動作させます。モニター画面で車を停めたい駐車スペースを指定してください」と音声案内が流れた。そう、A君が探したのは、手動で駐車する際に、モニター画面と音声で手助けをしてくれる車庫入れアシスト機能だった。借りたのがエコノミークラスの車種だったため、ハンドル操作の補助まではしてくれないが、音声でガイドしてくれるだけでもA君にとっては大助かりだった。


 A君は、360度を見渡せる全周モニター画面上で車を停めたい場所を指定した。すると、「駐車スペースがセットされました。周囲に注意しながら、画面の指示に従ってハンドルを左に切り、ゆっくりとバックさせてください」という具合に音声アナウンスが流れる。「はい、そのままハンドルを戻して…ストップ」。A君は指示通り慎重に車をバックさせ、無事に駐車スペース内に車を収めることができた。


 「ふ~っ」A君は安堵の息をついた。「まさか、こんなレガシーな機能を使うハメになるとは……」。


 202X年、レベル3.5(ほぼ全自動)の自動運転が当たり前の時代、通常ならば、自動運転機能が車庫入れまでも完ぺきに自動でやってくれる。しかし今回は、事故の影響で自動運転機能がまったく使えないので手動運転をするしかない。“自動”車ならぬ“手動”車である。


 そもそも車庫入れアシスト機能は、2000年代初頭から搭載が始まった古い(レベル1)機能だ。自動運転の時代になった202X年代には使用する機会がほとんど無いのだが、レベル3.5の自動運転機能も、実はその土台としてレベル2やレベル1の機能を使って実現されている。このため、手動操作時に使える機能として装備されていたというわけだ。


Next頭上を警察のドローンが通過