第1話「ウエアラブル端末が「合コン」を変える、成功率100%も薄れるドキドキ感」で、出会ったA君とCさん。二人はその後どうなったのか? 続きが気になっている人も多いでしょう。
 安心して下さい。二人は順調にお付き合いを深めています。初めて合コンで出会ってから3カ月がたち、今日はついに初めてのドライブデート。二人とも胸が高まり、ドキドキが止まらない状態です。“ちょっと未来”のドライブデートはいったいどのようになるのでしょうか。

<二人の出会いをご存じでない方は、まず第1話からお読みください>

「ちょっと先の未来」 第2話

202X年… とある都道府県の、とある高速道路を、若い男女が乗ったHV車が時速120kmで疾走している…。乗っているのはA君とCさん。二人は3カ月ほど前に「成功率100%」をうたう合コンサービスに参加し、お付き合いを始めた。家が近いこともあり、付き合い始めた当初は徒歩や電車移動でデートをすることが多かったが、ついに今日、初めてのドライブデートをすることになった。

(PIXTA)
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 実はA君、最近まで運転免許証を持っていなかった。彼女ができるまでは車の必要性を感じていなかったからだ。しかし1カ月前、ようやくできた彼女であるCさんが雑誌を読みながら「ドライブデートに行きたいなあ」とつぶやいたのを聞くやいなや一念発起! 自動車教習所へ連日通い、なんと1週間で運転免許証を取得した。


 ただし、A君が持っている運転免許証をよく見ると、「自動運転車限定(3.5)」の文字が入っている――。


【劇中ピンポイント解説】――「自動運転車限定(3.5)」免許とは?――

 2020年代初頭に日本でも自動車の自動運転が解禁になると、自動運転車が急速に増えていった。その裏には、政府による自動運転車の普及を推進する政策があり、自動運転車に対する特別な税制や補助金制度の導入があった。逆に、古くて自動運転に対応していない車には、割高な自動車税や保険料などが課せれるようになり、急激に数が減っていった。


 もちろん、こうした極端な自動運転車普及政策には反対意見も多く出た。しかし、2010年代から高齢者の運転ミスによる暴走や、飲酒・危険ドラッグ、スマホのながら運転などによる痛ましい事故が相次ぎ、何らかの対策を求める声が高まり、反対派を押しやる形で世を動かした。


 その結果、自動運転車が急速に普及し、その経済効果は自動車産業のみならず長く斜陽だった電機業界にも波及し、驚異的な復活を果たす原動力となった。


2020年代中盤には「レベル3.5」の自動運転が主流に

 このような強力な自動運転車の普及政策により、A君が免許を取得した2020年中盤では、国内に存在するほとんどの車が「レベル3.5」の自動運転対応車になっている。この「レベル」とは、2010年代中盤に考えられた指針である。


 東京オリンピックが開催された2020年頃までには、多くの操作を自動運転可能だが、まだ人の運転操作も必要とする“準”自動運転である「レベル3」対応自動運転車が実用化され、普及が始まった。その後、自動運転技術が劇的に発展したため、202X年代の早い段階で、無人運転も可能な“完全”自動運転である「レベル4」へ移行するかと思われていた。


 しかし実際には、202X年中盤の段階で普及しているのは完全自動運転のレベル4ではなく、かといって人の運転操作をそれなりに要求するレベル3でもなかった。ちょうどその中間に当たる「レベル3.5」だったのだ。


 レベル3.5の自動運転とは、日常のほとんどの運転が自動化されており、通常の運転では、まず人の手で運転する必要はない。しかし、レベル4と違ってレベル3.5では、万が一、不測の事態が起こった場合には人間が運転操作を行う必要が生じる。

「AT車限定」ならぬ「レベル3.5車限定」免許が登場

 レベル3.5対応の自動運転車が増えると、それに伴って自動車の運転免許証制度も変わり、レベル3.5自動運転車の操作に限定する「自動運転車限定免許(3.5)」制度が発足した。


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 この限定免許を持っていても、通常はレベル3.5の自動運転で走るので、ドライバーは何も運転操作をしない。ドライバーは、何かのトラブルが発生し自動運転を継続できない場合にのみ運転を代わる。要は、万が一のための、バックアップとしてのドライバーだ。


 そのため、極端な話、事故や災害など不測の事態が発生して自動運転ができなくなった場合でも、最悪、ドライバーが手動で安全に車を停車させることができるスキルさえあれば、大きな事故を引き起こす可能性は低くなる。


 そんなわけで、「自動運転車限定免許(3.5)」の場合、昔のように自動車教習所で学科や技能教習、試験センターでの筆記テストなど、時間をかけて免許を取るなんてことは不要。学科も簡素化され、自宅でのWeb学習で可能となり、技能教習も教習所の自動運転車(3.5)シミュレーターを触るだけだ。


 当然ながら、実車でのS字カーブや車庫入れ、縦列駐車など実技での難関は無い。仮免許での路上教習や高速教習も存在しない。日々の運転は基本的にすべて自動運転でやってくれるから、必要がないためだ。その代わり、万が一のインデント(想定外の事故や危機)発生時の対応や、事故が発生した時の対処法などをみっちりと学習させられる。

Next初めてのドライブデートは、初めてのお泊まりデート…