人工知能やディープラーニング、IoT/M2M、ビッグデータ、ウエアラブルなどの要素技術…。それらを活用した「つながる工場」「インダストリー4.0」「自動運転」「スマートアグリ」などの新サービスや変革の動き――。最近、新聞や雑誌、ネットのニュースなどさまざまなメディアで、このようなIT・デジタルに関連する新しいキーワードが踊っています。
 しかし、いざ読んでみると、専門用語がたくさん並んだ難しい記事が多く、「よくわからない」と困っているビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。「キーワード」から説明を始めると、どうしても専門的な横文字やカタカナ用語がズラズラと並ぶことになってしまい、理解するのがなかなか難しいものです。
 そこで本連載は、ストーリー仕立ての「ちょっと先の未来」を覗きながら、ITやデジタルの世界で注目されている技術や概念、キーワードを分かりやすく解説していきます。私たちの未来はいったいどう変わっていくのでしょうか。

「ちょっと先の未来」 第1話

202x年 東京 とあるオシャレな飲食店――


「はーい!今日の合コンメンバー全員そろったようだから、そろそろ始めましょう! まずは簡単に、自己紹介からお願いします!」


 A君は、合コンに初めて参加する21歳の大学生。いまどきの「美肌系男子」。もちろん「草食系」だ。これまで付き合った彼女は、“リアル世界”では0人。過去に女性とお付き合いできそうなきっかけは何度かあったが、相手に「拒絶」されるのが怖くてどうしても踏み出せず、彼女と呼べる間柄までは進展することが無かった。


2016年の合コンのイメージ。これが202x年には…
(写真:KAORU / PIXTA)
クリックすると拡大した画像が開きます

 だから、A君の彼女はネット上の仮想恋愛体験サービスにログインすると会える“バーチャル彼女”だけ。202x年の今、映像はとてもリアルで本物の人間そっくりの女性3DキャラクターとVR(仮想現実)空間上でデートを楽しめる。


 でも、やっぱり仮想は仮想。A君は、「リアルな恋愛がしたい! 彼女がほしい!」と思い、思い切って今回、流行している“驚異のカップル成立率を誇る合コン支援サービス”に申し込み、そのサービスがセッティングしてくれた合コンに参戦したわけだ。

「バイタルサイン」で気になる異性の気持ちを探る

 合コン支援のWebサイトや合コン支援サービスは、一時代前の2016年頃でも存在していた。しかし、202x年の合コン支援サービスは、見かけからしてちょっと違う。合コンに参加している男女は皆、ウエアラブル端末で“完全武装”している。ウエアラブル端末と聞いてもピンとこない人もいるかもしれないが、要はApple Watchのような時計型コンピュータ端末や、グーグルグラスのような眼鏡型端末など身に着けるIT機器である。


 A君は、眼鏡型ウエアラブルデバイスを装着しているが、A君の第一印象ナンバーワンの女性Bさんは、ペンダント型端末と、耳にはイヤリング型音声レシーバーで武装しているようだ。


 この合コン支援サービスが驚異のカップル成立率を誇るのは、参加者全員が何らかのウエアラブル端末を装着し、そこから得られる「バイタルサイン」を常に計測してインターネット上のクラウドサーバーへ伝送、クラウド側で「参加者の心理状態」を常に分析している点に秘密がある。


 バイタルサインとは、体温や心拍数、血圧、呼吸数など「身体の発する情報」のことだ。これらは、2016年のウエアラブル端末でも測れるものがあるが、202x年の端末はさらに進化しており、脳波や筋肉に加わる電気(筋電)などより多くの情報を手軽に測れるようになっている。


(写真:HIME&HINA / PIXTA)
クリックすると拡大した画像が開きます

 サービスでは、合コン参加者のさまざまなバイタルサインを分析して、意中の彼女・彼氏の「心の内」を探り、参加者に情報を提供してくれる。仮面の下の本音や駆け引きやら…決して簡単には表に出したくない心理状態を、ウエアラブル端末で計測したバイタルサインを元に分析するから、最適なアドバイスが得られるわけだ。


 これならアプローチしても「拒絶」される可能性が低いから、草食系男子でも安心して合コンに参加できる。“驚異のカップル成立率”も当然の話である。

Nextセキュリティレベルの設定で「ココロを開く」