古い慣習やしがらみを打ち破り、業界や社会に大きなインパクトを与える――。そんな「変革を生み出す力」を知るうえで役立つ記事を、日経BPネットの過去の連載からピックアップして紹介するこのコラム。今回は、人気連載「小沢コージの鉄板CAR研究~愛されクルマには「秘密」がある」からホンダの軽スポーツカー「S660」を取り上げる。
 世の中を動かすには、多くの人の「心」をとらえ、熱くさせる必要がある。自分が生み出すモノやサービス、やろうとしていることに対して、熱い心で迎えてくれなければ、変革など起こしようがない。S660はなぜ人を熱くさせるのか、そこに大きなヒントが埋もれているはずだ。

記事中で登場する人名や肩書き、数字などはすべて掲載当時の情報です。

 人気のクルマは、なぜ愛されるのか、なぜ奇跡を起こすのか。そしてなぜ売れてしまうのか。テクニカル、マーケティング、そしてキャラクターと、様々な視点から、愛されクルマの「秘密」に迫る。今回は大ヒットを飛ばしている「S660」。26歳という「ホンダの歴史で最も若い開発責任者」が開発したことでも話題となったクルマだ。なぜ「S660」は人を熱くさせるのか? その秘密を小沢コージが解き明かす。

「スポーツカーは売れない!」にあえて挑戦

 ビックリ! 予想ハズシも大ハズシである。先日出たばかりのホンダ久々の軽自動車2シーターオープン「S660」(エスロクロクマル)だ。正直に告白すると、不躾オザワは爆発的にはウケないはず、とタカをくくっていた。

 しょせんはガラパゴスな軽であり、ただでさえ小さなスポーツカー市場を軽に限定させる意味がわからなかった。

 そもそもホンダは1991年に同じく軽ミッドシップ2シーターの「ビート」を出して、5年で3万4000台弱とビジネス的にはイマイチの結果で終わっている。月平均ほぼ600台と少なく、実際その後、今回S660が出るまで24年間も軽スポーツは企画されなかった。

 成功だったら続編が間違いなくすぐ作られていたはずなのに。

 もちろんビートは一部マニアからは「ミニフェラーリ!」とか「リアルミッドシップ」として絶大の賛辞を浴び、ウケにウケていた。走りもデザインも軽とは思えないほど素晴らしかったからだ。

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Next少なくとも10年は作るつもり