競技力向上にもつながる正確な数値計測

 たとえば、バレーボールではボールを打ったタイミングやその打点、ボールの軌道における速度の変化などをすぐさま3次元の映像に復元できる。これまで感覚的に巧い、速いと感じてきた選手のパフォーマンスが、細かい数値によって、しかもリアルタイムに理解できるというわけだ。その効果、視聴者へのインパクトについて内藤氏はこう説明する。

 「バレーボールの中継時には、ツイッターなどで”今のサーブ、105km/hだった”といった視聴者のコメントが見られました。これまで速いスパイクとかいいサーブといったかたちで感覚的に捉えられていたプレーが、数値でより正確に理解できるようになった。また、これまでのトラッキング技術では難しかったスピーディなプレーの画像認識も正確にできるので、卓球のラリーなどでも多様な数値を提供できるようになった。ラリーの最中に今、この選手はどのエリアを集中的に狙っているといったことも視聴者が理解できるわけです。これまで得点経過だけでバレーや卓球を楽しんでいた視聴者が、別の楽しみを見つけてくれるかもしれない。解説者のコメントにしても数値をベースにすることによって深みが出てきますしね」

 今まで可視化できなかった数値を得ることにより、競技力の向上も期待できる。選手のストロングポイントはどの部分で、どの部分が弱点なのか。調子の悪い時、調子の良い時のフォームにはどの部分に相違があるのか。あるいはケガを予測することだってできるかもしれない。過去、ケガをした直前のプレー画像や数値を細かく収集しておけば、危険な状態を察知して、事前に選手へ警告を発することができるからだ。

データスタジアムが導入する「TRACAB」というシステムでは、サッカーのピッチにおいて専用カメラを設置し、リアルタイムでピッチ上すべての動きをデータ化。この技術は、FIFAワールドカップ南アフリカ大会の公式トラッキングデータ取得にも採用された

(文/宇都宮ミゲル)