スポーツへの興味を深める画像認識の技術

 データへのニーズが高まるにつれ、技術革新も加速。既にテレビ中継などで実用化され始めたトラッキング技術「Qoncept 4D Tracker」はその代表例だ。高度な画像認識によるこの技術は、大阪大学発のベンチャー企業「Qoncept(コンセプト)」と組んで開発されたもの。対象物の3次元位置をリアルタイムで正確に計測することにより、視聴者はこれまで知り得なかった数値に触れることができる。2015年の世界陸上で初めて、放送局と連携した形で活用された技術だ。内藤氏はこう説明する。

 「100m走の選手を画像認識によって追跡し、最高速はどの時点で出ていたか、その速度はどれくらいだったかといった情報を提供したんです。これにより、最終的なタイムだけでなく、どの時点で加速したかといったことが数値的、視覚的に理解できるようになりました。世界陸上ではウェブ上でのデータ提供でしたが、これが生放送中に実用化されればテレビ解説にも深みが出ますし、これまで見えなかったデータを可視化することで、その競技の面白味も増すわけです」

トラッキングシステムは、野球場に専用カメラを設置し、投球の変化、打球角度などを自動的に取得できる
コンセプト社長兼CTOの林健一氏

 トラッキング自体は特段、新しいものではなく、既にJリーグなどでもデータ収集に用いられている技術。ところが従来のトラッキング手法は、多面的に画像を捉える必要があるため、高額な専用カメラを多数要するという欠点があった。その難点を大きく改善したのがこの「Qoncept 4D Tracker」である。

 開発をしたコンセプトの林建一氏は言う。

 「まず専用のハードではなく、既に放送の現場で使われている機材、比較的安価な機材で実現できるという部分がポイントです。民生用のカメラ2台と1台のMacがあれば、画像をリアルタイムに認識、処理することができる。その情報を放送局のシステムと連携させれば、リアルタイムで数値や画像を放映することができます。ボールや選手といった目標物の位置をリアルタイムに割り出し続けるので、それによって速度や3次元的な位置を瞬時に表示することができるんです」

Next競技力向上にもつながる正確な数値計測