徳島県上勝町の第三セクター、いろどりによる“葉っぱビジネス”は現在、日本料理を彩る「つまもの」市場シェアの大半を占めている。いろどりのビジネスは、なぜこれほどまでの成功を収めることができたのか。他の自治体が地元の名産品や特産品で同じような成功を収めるためには、何が必要なのか。

 また、これほど成功しているにもかかわらず、同社は現状に満足せず、さらなる成功を目指し動き始めているという。国内市場シェア拡大による成長の余地が少なくなってきた現在、どのような方向を向いてビジネスを展開し、成長を遂げようとしているのか。そのために克服すべき課題は何なのか。

 上勝町における葉っぱビジネスの創始者であり、いろどり代表取締役社長を務める横石知二氏へのインタビューを中心に探っていきたい。

おばあちゃんはなぜパソコン・タブレットを使いこなせるのか?

 前編で紹介したように、いろどりビジネスの中心になっているのは、青果市場からの注文状況やそれに対する出荷状況をリアルタイムで確認できる「上勝情報ネットワーク」だ。

 しかし、葉っぱビジネス以外に目を向ければ、こうしたシステムは今や企業の多くが導入しており、決して珍しいものではない。ただ、約200軒もの農家が参加し、しかもその半分以上が高齢者という状況はきわめて珍しいと言えるだろう。

今回取材にご協力いただいたいろどり農家の西蔭幸代さん
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 情報システムというのは得てして「あんなこともこんなこともできる」という機能面で語られがちだが、毎日それを利活用するユーザーがいてこそ初めて成り立つ。せっかく高性能・多機能なシステムを構築したとしても、ユーザビリティーが悪くて誰も使えないのでは全く意味をなさない。

 そういう意味では、「半数以上が高齢者」という状況下で使われるシステム、使われるユーザーインタフェース(UI)を作るというのは至難の業ではないだろうか。

西蔭さんもパソコンはもちろんのこと、タブレットも活用していろどりビジネスに参加している
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 この点について横石氏は、「人を動かすツボをつかむこと」が重要だと語る。

いろどりの横石知二・代表取締役社長
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 「ビジネス上の本質ではないところに、人を動かすツボがあるんです。たとえば『ものすごく隣人に対して負けず嫌いが強い』とか、人を動かす“糸の引き方”を考える必要があります」(横石氏)。

 一般化すれば、「自分にとってプラスになるかどうか」が多くの場合、人を動かすトリガーになる。これは地方であるとか高齢者であるとか関係なく、どこでも誰でも同じだ。

 「例えば『町づくり講演会をやります』と呼びかけても、『町の役職者や有力者が行くもので、私には関係ない』となってしまいます。でも、『今日はお米の値段が3倍になるヒントをくれる』となったら農家の人全員が来るでしょう。タブレットの活用も同じです。自分の成績表が出て、『注文取りは早い者勝ちだよ』ということになると、何が何でも押してやろう、使ってやろうという気持ちになるんです」(横石氏)。

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