成功例の繰り返しは飽きられる

 ここまで説明してきたABEJAのサービスで特徴的なのは、大量のデータの取得・解析・出力を可能にする「プラットフォームの提供」に特化してビジネスを展開していること。つまり、解析結果を踏まえた「改善策の提示」は行っていない。

 「データを活用してどのような経営判断をし、どのような改善策を実施するか。それはその企業自身が思い描くストーリーによって異なるはず」(岡田氏)というのが、その理由だ。

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集計・分析されたデータを基に、店舗スタッフは次の一手を考えられる
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 「どう対処するのが正解か」を考えるには、「正解とはどういう状態か」という定義が必要だ。それを定義するのは、今のところまだ人の役割なのだろう。

 現在、流通・小売業でこのようなABEJAのプラットフォームを導入しているのは、ウィゴーのほかに三越伊勢丹、東急ストア、ビジョンメガネなど50社、200店舗あまりにのぼる。その数字はこの業界が「データが示す事実」をいかに待ち望んでいたかを示しているようだ。

(写真:中野和志)

 「これまではPOSデータを元にした『買ってくれた人』の分析に重点が置かれてきました。しかし売れた商品や買ってくれたお客の分析から導き出される『次の一手』は、過去の成功事例の焼き直しでしかない。それだけではいずれ消費者に飽きられてしまいます。この競争時代に生き残りたいなら、『買わなかった人』の分析こそが重要なのです」と岡田氏。

 今後は流通・小売業で起こしたイノベーションを、製造業をはじめ、さまざまな業種に広げていきたいという。次回はその展望に迫る。

(文/石田純子)