ITの力で「ただの葉っぱ」が「お金」に化けた――。徳島市から車で1時間ほどの山間部にある徳島県上勝町は、ユニークな地域活性型の農商連携を実現した「葉っぱビジネス」で大成功を収め、日本のみならず世界中から注目を集めている。その中心となっているのが、上勝町などの出資によって設立された会社「いろどり」だ。どのように葉っぱビジネスを成功に導いたのか、裏側を探った。

風光明媚な山間の町、徳島県上勝町
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 風光明媚な山間の町、徳島県上勝町。一見、日本のどこにでもありそうなのどかな雰囲気を持つこの田舎の町が、ITをフル活用した「葉っぱビジネス」で大成功を収め、日本はもちろん世界中から注目を集めている。実際に、同町には国内外からひっきりなしに視察や見学を目的とした訪問者が訪れている状況だ。

上勝町の棚田は1999年に農林水産省によって「日本の棚田百選」にも選ばれている
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 葉っぱビジネスとは、モミジや南天の葉、花や山菜など、日本料理の飾りに用いられる“つまもの”を栽培・出荷・販売するビジネスである。その中心となっているのは、上勝町などの出資によって1999年に第三セクター方式で設立された会社「いろどり」だ。

いろどりのWebページ
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 全国各地の青果市場からつまものの注文が入ると、農協を通じていろどりに注文が届く。この注文を葉っぱビジネス(以下、いろどりビジネス)に参加する農家に素早く割り振り、過不足のないように出荷する。

 ここで大きな役割を担っているのが、いろどりビジネスを裏側から支える「上勝情報ネットワーク」だ。全国の青果市場からの注文をサーバーに集約し、参加する農家が「早いもの勝ち」で入札する仕組みを提供するシステムである(詳しくは後述)。

 注文の受け付けや出荷状況の確認は、各農家の自宅にあるパソコンに加えて、通信機能を内蔵したタブレット端末からも行える。タブレットの場合、畑での農作業や葉っぱの収穫などを中断することなく、外から注文や出荷状況の確認ができるので便利だ。

 上勝町は高齢者比率が50%を超えており、人口の減少も続いている。典型的な「過疎化に悩む自治体」である。いろどりビジネスは、そんな上勝町において「高齢者でも続けられる仕事」として1986年にスタートした。

 当初は、FAXなどを使って各農家から出荷の希望を受け付ける仕組みだったが、今ではパソコンとタブレットを使って効率的に注文をさばくIT活用型のビジネスに様変わりしている。そしてこのITを活用することこそが、いろどりビジネスの現在の大成功に結び付いている。

 しかし、一般的に言って、高齢者はパソコンやタブレットを使うことに抵抗を感じる人が多いはず。どのような仕掛けによって「高齢者に使ってもらえるシステム」を作り上げたのだろうか。そのあたりも含め、今回はいろどりビジネスが成功した理由を探った。

Next約200軒の農家を組織化し、つまもの市場シェアの…