「若者のクルマ離れ」や「高齢者の免許返納」など、成熟したはずのクルマ社会が曲がり角に来ている。限界集落を抱える地方では公共交通機関が成り立たないにも関わらず、過疎地ではガソリンスタンドが減り、都市部でも買い物難民や送り迎え難民が増えている……。こうした問題に対して、世界各国で、小型で扱いやすく環境にやさしい新しい乗り物“超小型モビリティ”が求められている。日本にはそれを解決するモノ作りの技術力がある! 人と街にやさしい乗り物作りに込められたベンチャーのチャレンジを追う。
(インタビュー:nikkei BPnet 今井丈彦、構成:波多野絵理、写真:小川拓洋)

 「このクルマに乗ってみたいっ!」

 愛らしいこの車の名前は『rimOnO(リモノ)』。アニメのキャラクターのような愛嬌あるデザインの小型の電気自動車で、コンパクトな車体は全長2.2m×全幅1.0m×全高1.3m。普通のクルマの約半分なので、駐車場1台分にきっちり並べれば4台停められる。ボディは、押すとフカッと柔らかいウレタン素材。その表面を覆っているのはカフェの日よけやテントなどに使われる防水の布で、きせかえもできるようにするという。しかも、ただカワイイだけではない。近い将来、生活に欠かせない新しい乗り物として活躍する予定の“超小型モビリティ”なのだ。

コンパクトで愛らしいデザインの『rimOnO(リモノ)』
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 この世にまだたった1台の試作車だが、試乗会をすれば子どもたちが目を輝かせて集まり行列ができる。コンパクトなのに大人1人と子ども2人が乗れるので、雨の日の送り迎えも大丈夫。小さくて小回りがきく車体は、路地を走る近所の買い物や、高齢者の病院通いにも便利だ。愛らしい外見から配達や販売に使いたいなど、多くの人から発売が待たれている。

 作っている会社の名称も車と同じ『rimOnO(リモノ)』。“乗り物からNoをなくす”という理想を込めて、経済産業省出身の伊藤慎介氏と、トヨタ自動車出身の工業デザイナーでznug design代表の根津孝太氏の2人が、2014年に起業したベンチャーだ。

 超小型モビリティとは、自動二輪車と軽自動車の中間に位置する電気小型車で、観光や中山間地域(平野に近い山間地域)での日常の足、小口配送用途などへの利用を念頭に、国土交通省を中心に国が新たに車両規定を検討しているものだ。同省のHPによると「自動車よりコンパクトで小回りが利き、環境性能に優れ、地域の手軽な移動の足となる1人~2人乗り程度の車両」としている。

 経産省でスマートグリッドや電気自動車のタウン構想など数々のプロジェクトを牽引してきた伊藤氏と、電動バイク『zec00(ゼクウ)』やトヨタ自動車のコンセプトカー『Camatte(カマッテ)』といった話題の最先端車両を開発してきた根津氏の2人が、なぜ超小型モビリティを開発するに至ったのか。リモノはどのような車で、なにを目指しているのか。rimOnO代表取締役社長の伊藤慎介氏と取締役の根津孝太氏、そして当初から設計を担当し、新たに取締役になったドリームスデザインの奥村康之氏の3人に聞いた。

Next柔らかい布のコンパクトな電気自動車