中長期的な減少傾向にあると言われる国内の自動車需要。1990年代前半には800万台に迫っていた新規自動車登録台数が、2015年度には500万台を割り込むほどの低調ぶり。昨今、ユーザーと自動車の関係は大きな変革期に差し掛かっているようだ。そんな時代に、未来を予見するようなサービスが登場した。

 音楽や動画などで急速に普及しつつある、月額定額料金で好きなだけコンテンツを楽しめる利用形態をクルマに応用したサービス「NOREL(ノレル)」だ。

「所有」から「利用」へと変化するユーザーのマインド

 ノレルはIDOM(旧・ガリバーインターナショナル)が2016年8月18日にスタートさせたサービス。月額4万9800円(税抜)で自由にクルマを乗り換えられる。会員になれば、約100種類(2016年8月現在)あるクルマの中から好きな一台を選び、90日間以上乗車した後はまた別のクルマに乗り換えられるというシステムだ。

 自動車保険(任意保険)込みで、税金(自動車税、重量税)の支払いは不要で、車検を受ける必要もない。月額料金以外で利用者が負担するのは、ガソリン代と駐車場を借りていれば駐車場代だけだ。

NORELのウェブサイト

 レンタカーやカーシェアリングとも全く異なるこの新サービス形態。まるで月額定額で音楽聞き放題となるサービスのような気軽さ、自由さは早くも感度の高いカーユーザーのニーズにマッチ。サービスのスタートから約24時間で初期予定会員数の100名に達するほどの人気ぶりだ。このようなビジネスをスタートさせた経緯について、IDOMの執行役員で新規事業開発室長の北島昇氏はこう語る。

 「車を衣服のような感覚で利用していただく、というのが弊社の根底にある思想です。そこでまずユーザーに提供したのが、車をより高く売却し、好みの車をより安く買っていただける、という中古車売買のシステムでした。そして時代は急速に変化し、近年ではあらゆるものに対するユーザーの意識が“所有”から“利用”へと変わりつつあります。そこで買う、売る、借りる、貸すといった行為の境目がどんどん曖昧になっていくなか、弊社はある程度の確信を持ってNORELをスタートさせました。グループ会社としての強味を生かすという意味でも、有効なビジネスだと感じています」

IDOM執行役員・新規事業開発室長の北島昇氏

 既に市民権を得ている音楽や動画(映画やテレビ番組)、書籍の月額定額サービスでは、商品ラインアップの充実が消費者に選ばれるかどうかの最大のポイントになる。クルマでも同じだろう。ラインアップが充実していればそれだけ選ぶ楽しみが増えるし、憧れのクルマが複数台あればサービスを利用してみようと気になるだろう。

 こうした観点から見ても、IDOMはNORELを始めるにあたり、高いポテンシャルを秘めていた。同社は過去、70万台を超える中古車を扱ってきた。そして常に、多様なメーカーのクルマを自社の懐にキープしている。つまり、これらの膨大な車両が、NORELの棚にすぐに並べられる状態にあるわけだ。この点がまさに同社の強みであり、他社が簡単にまねのできない部分であると北島氏は強調する。

 「車の調達に関しては当然、ガリバーで買取らせていただいたものが柱になっており、中古として販売した方がいいのか、それともNORELの棚に置いた方がいいのかを判断した上で的確に振り分けていきます。その判断がまさに利益率を左右するわけですが、その時、生きてくるのがこれまでIDOMに蓄積されきたデータと分析技術なのです」

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