あらゆるモノがインターネットを介してつながる「IoT(モノのインターネット)」――。IoTの世界はどんどん広がりを見せており、われわれ人間が身に着けたり日常的に触れたりするモノにまで到達し始めている。
 それらのうち、まず最初に身近な存在となりそうなのが、日々の歯磨きに代表される「オーラルケア」分野の製品だろう。実際に、オーラルケア市場に大きなインパクトを与えるIoT製品が既に出始めている。
 そうしたIoT対応オーラルケア製品の代表例が、サンスターが販売する“スマートハブラシ”「G・U・M PLAY(ガム プレイ)」だ。このガム プレイ、ついついなおざりにしがちな毎日の歯磨きを、IoTとアプリの力で「子供から大人まで楽しめる作業」に一変させる画期的な製品となっている。なぜこのような製品の開発に至ったのか。開発の意図や経緯、製品の特徴などを取材で探った。

サンスターが販売するIoT対応のスマートハブラシ「G・U・M PLAY(ガム プレイ)」。2016年4月発売
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 忙しい毎日の中で歯をしっかり磨くのは意外に面倒だ。勢いなおざりになっている人も多いのではないだろうか。実際、サンスターが2014年に実施した調査によれば、1回あたりの歯磨き時間が1分未満という人は13%、1~3分未満が35%と、全体の約半数が3分未満。歯科業界が推奨する3分以上という歯磨き時間を半数がクリアしていないことになる。

 しかも、この調査は「自己申告」なので、実際にはもっと短い可能性が高い。歯科医に話を聞いてみると、本人は「きちんと磨いている」と申告するものの、診ると十分でない患者が多いという。

 日本人は、歯周病などに関する認識は非常に高い。にもかかわらず、防ぐための行動が伴わない、予防への意識が低いという背景がそこにはある。

 一方、欧米ではこうしたオーラルケアに関する意識が高い。日本のような国民皆保険制度でないことが一因だ。治療にかかれば高額な費用が請求されるため、熱心にセルフケアに努める。日本人の場合、昔から何か症状が出てから歯科医院に行くことがほとんど。健康な歯を保つためには、やはり歯磨きが基本なのだが、ここへの関心も薄い。

 「当社は長年、歯ブラシや歯磨き粉などの改良を重ねてきました。ただ、より良い製品を届けることはできても、ユーザー一人ひとりの“意識の改善”まではできていなかった。今後はそこまで踏み込んでいきたいと考え、『デジタルを活用して何か新しいアプローチはできないか』と、開発プロジェクトを立ち上げました」。ガム プレイ開発を手掛けたサンスターの松富信治氏(オーラルケアカンパニー日本ブロックマーケティング部)はこう話す。

ガム プレイの開発を手掛けたサンスターの松富信治氏(オーラルケアカンパニー日本ブロックマーケティング部)
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 ガム プレイの開発は2014年4月にスタート。メンバーはどんどんふくらんでいき、最終的には外部のデバイスやアプリ開発会社などを含めて数十社規模、総勢200人前後が関わる大規模プロジェクトになったという。

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