日本のゲームユーザー向けに「空の色」までこだわって調整

 だが、企業として開発を引き受ける以上、キレイごとを語るだけでは済まされない話も出てくる。

 スマイルブームは、携帯ゲーム機向けのプログラム作成ツール「プチコン」シリーズをはじめ“通好み”のソフトを定期的にリリースし、熱狂的なファンが多数いる会社だ。いくら採算度外視で引き受けたからといって、いいかげんなものを作り、長年築き上げてきた会社のブランド価値を傷つけることなど許されない。

 その一方で、当然、SPARX日本語版開発のために多大な開発コストや人的リソースを費やすわけにはいかないという事情もある。そこで徳留氏は、「手をかけるべきところにはしっかり手をかけ、そうでないところはある程度目をつぶる」という取捨選択を厳しく行いながら開発を進めていったという。

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 「たとえばこのゲームの舞台は『雪で閉ざされている』という設定なのに、登場するキャラクターが上半身裸で半ズボン姿をしているなど、明らかにおかしかったり、破綻していたりする部分が目についた。そういうところにはしっかり手を入れた。とにかくSPARXの本来のメッセージがきちんと伝わり、最後までプレイしてもらえるよう心掛けた」(徳留氏)

 日本のゲームユーザーは、子供の頃からたくさんの漫画やアニメを見て育ち、任天堂やソニーをはじめとするゲーム機に囲まれて成長してきた。そのため、海外製ゲームの“濃い”キャラクターデザインはなかなか受け入れてもらえないという事情がある。

 そこで、例えば、案内役のメインキャラクターをいかにも海外のゲームで出てくる筋骨隆々たくましい男性キャラから、日本人が親しみやすい、日本のアニメ的要素を取り入れたデザインの女性(3Dモデルを新たに作成)に変更するといった改修を行った。

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 他のキャラについても、顔をちょっと丸くしたり、目を大きくしたりといった変更を加えてあるという。

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左がオリジナル(海外版)で右が日本版

 「空の色」にもこだわった。レベルが上がっていくごとに少しずつ明るくしていくことで、前向きな心を空の色で表現した。

 「声」もまた重要なポイントで、声優選びにもトコトンこだわったという。「例えば、プレイヤーに『押し付けがましさ』や『不快さ』を感じさせてしまったら、ゲームを続けてもらえない」(徳留氏)からだ。

 さらに、「体調を崩すと、認知力や知覚力といった機能が落ちることが多いため、日本語の吹き替え音声については、できるだけゆっくり話してもらうように声優にリクエストしました」(清水氏)。SPARX日本版には、こうした細かい工夫やこだわりがたくさん入っているという。

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