ここ数年、「ペッパー」や「ロボホン」など、一般向けのロボットが次々と登場し、一大ブームとなっている。いずれも人と何らかの双方向コミュニケーションが図れる機能を搭載するのが特徴だ。
 ところが、そうした機能を大胆に切り捨て、ひたすら“一方通行”でギャグをつぶやくことに特化したロボットが存在する。タカラトミーが2016年8月に発売した「爆・笑太郎」である。
 発売されるやいなや話題の商品となり、発売に先立って発表された日本おもちゃ大賞2016では、コミュニケーション・トイ部門で優秀賞を受賞した。そんな爆・笑太郎がなぜ生まれたのか、<前編>に引き続き探っていく。

 タカラトミーが開発した家庭向けロボット「爆・笑太郎」は、“親父ギャグ”を含むギャグやダジャレの類を1300個も搭載し、ウケようがスベろうが気にせず一方的に披露し続けるという不思議なロボットだ。

タカラトミーの家庭向けロボット「爆・笑太郎」
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 「ロボットが人間の声でギャグを披露する」と聞くと、お笑い芸人がしゃべるようなイメージを持つかもしれないが、そうではない。誰が聞いてもそれと分かる、いわゆる「ロボット声」でギャグを発声するのだ。ハイテクイメージの象徴であるロボットが、いかにもな合成音声でコテコテのギャグを披露する。その何とも言えないギャップが強烈なインパクトを生み出す。

 開発を手がけたタカラトミーの多田翔平氏(ニュートイ企画部企画開発課主任)によると、爆・笑太郎の声には、HOYAサービスが提供する音声合成「ショウ君」を採用したという。人気バラエティー番組「モヤモヤさまぁ~ず2」のナレーションでおなじみのあの声だ。「生身の人間が感情を込めてしゃべるより、平板で生命感のない声のほうが面白い」(多田氏)と考え、この声を選んだそうだ。

「笑うこと」がお年寄りの健康増進にもつながる?

 そんな爆・笑太郎だが、ただ一発ウケを狙っただけのロボットでは決してない。多田氏は「家族の中で『面白いね』『何か爆・笑太郎が言ってるよ』など爆・笑太郎のギャグが家族団らんの話題やコミュニケーション、笑いのきっかけになれば」と、この製品の開発に込めた想いを語る。

開発を手掛けたタカラトミー ニュートイ企画部企画開発課主任の多田翔平氏
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 対象年齢は15歳以上。最初は6歳以上に設定していたが、「ギャグが高度なため」(多田氏)、15歳以上が相当だろうということで改めた。親父ギャグを普通に言う世代、そしてそれを主に聞かされる世代が中心ターゲットである。とはいえ、1300個もの大量のギャグが入っているので、どの世代の人にとってもヒットするギャグがきっとあるはずだ。

 こうしたギャグを聞いて「笑う」ことにより、もたらされる効果は様々ある。その一つとして最近注目されているのが「健康」へ与える影響の可能性だ。タカラトミーによれば、普段ほとんど笑っていないお年寄りが「自身の健康状態が良くない」と感じる割合は、毎日よく笑うお年寄りと比べて1.5倍以上高いことが、東京大学大学院・近藤尚己准教授の研究グループの調査により判明しているという。

 加えて、これまでの研究を通じて、「健康状態の自己評価が低い人は寝たきりになる割合や死亡率が高い傾向にある」といい、そうした傾向や得られたデータに基づき、近藤准教授は「研究結果は、よく笑う人ほど健康であるという可能性を示している」と述べているそうだ。

 爆・笑太郎が発するギャグが、高齢化の進む日本の家庭にたくさんの笑顔をもたらし、さらには健康状態の改善にまで良い影響を与えられるとするならば素晴らしいことである。さすがにそれを裏付ける追跡調査などはできないだろうが、開発者・多田氏の表情からは爆・笑太郎に注入した熱き想いがヒシヒシと伝わってきた。

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