半導体市場の5割をミニマルファブで賄う

 では、現在のところ少量多品種の半導体デバイスを必要とする企業は、どのようにして半導体デバイスを調達しているのだろうか。

 「これは、日本に限らず米国においても同様の傾向を示していますが、少量多品種の半導体デバイスを必要とする企業の多くが、設備の償却がすでに終了している古い工場を保有している半導体メーカーに発注しています。その結果、現在最先端の直径12インチよりも、前の世代の8インチ(200mm)や6インチ(150mm)のウエハーを使った半導体製造工場の稼働率が高まってきているのです」と原氏。

 とはいえ、前世代といえども数千個、数万個といった単位でしか発注できず、その分、資源、費用の両面で、大きな無駄が発生してしまっているのが現状だ。それに対し、少量多品種専用の工場があれば無駄を大幅に低減でき、さらに価格を下げられると原氏は考えた。

 「ゼネラルモーターズが行った自動車の少量多品種化は、簡単に言ってしまえば、デザインや色の多様化でした。それに対し、半導体デバイスの少量多品種化を実現するには、自動車と同じ方法では不可能です。しかも、半導体デバイスの製造工程は、多いもので600工程もあり、工程ごとに担う企業が異なっています。それをいかにして、短い開発期間、低い開発コストで少量多品種化を実現するかが、半導体分野における大きな課題となっているのです。この課題を解決するにはこれまでにない新たなアプローチが不可欠です」

 では、半導体業界が迅速かつ安価な少量多品種生産を実現するにはどうすればいいのか。その課題を解決するのが、このミニマルファブというわけだ。

 「製品に関する需要の飽和に加え、あらゆるものや場所がインターネットでつながるIoT時代の到来、パワー半導体など新たな半導体デバイスの開発の加速などにより、半導体業界における少量多品種へのニーズはますます高まっています。そのため、私は現在、約30兆円と言われる半導体市場の約5割、すなわち約15兆円をミニマルファブで賄えると試算しています」と原氏。

Nextクリーンルームを不要とする技術開発が出発点