クリーンルーム不要、工場の建設費用は1000分の1

 加えて、ミニマルファブは、従来の半導体製造工場に不可欠なクリーンルームが不要だ。クリーンルームとは、空気中に浮遊する塵埃(じんあい)がある基準以下に保たれた部屋のこと。必要に応じて温度や湿度などの空調も厳密に制御されている。そのため、最先端のメガファブ(巨大半導体製造工場)を設置しようと思うと、建設に約5000億円もの巨額の費用がかかってしまう。

 一方、クリーンルームが不要なミニマルファブであれば、その1000分の1の5億円程度で設置できる。しかも、クリーンルームを維持するのに不可欠な年間80億円ともいわれる高額な電気代も不要だ。

 さらに装置自体の大きさが、幅0.3m、奥行き0.45m、高さ1.44mと小さいので、設置に必要な床面積もメガファブの約4万平方メートルに比べてその100分の1の400平方メートル程度で足りる。

 つまりミニマルファブは、初期費用も維持費もより安価で、環境にも優しいこれまでにない画期的な半導体製造装置なのである。

 原氏はこう語る。

 「ミニマルファブの実現により、半導体メーカーは顧客の少量多品種へのニーズに迅速かつ柔軟に対応できるようになります。また、装置の導入障壁が低いので、自動車メーカーや家電メーカーなど半導体デバイスを扱う企業が、自社の工場内に設置し、自前で半導体デバイスを製造するケースも増えていくと予想されます。大学の研究室や各種研究機関が導入するといったことも考えられます。現に国内外の多くの大学や研究機関から問い合わせが相次いでいます。企業や研究所、研究機関が自ら半導体製造装置を購入し、内部で試験製造ができるようになれば、機密事項が外に流出するリスクも低減できます」

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