デジタルグリッドが展開する「WASSHA(ワッシャ)」サービスが、タンザニアの生活を変え始めている。子どもが夜勉強できたり、小売店が日没後も営業したりするようになったほか、健康状況の改善や温室効果ガスの削減にも一役買っている。
 日本からタンザニアまでは飛行機を乗り継いで24時間。地理的な距離ばかりでなく、精神的にも遠く感じる国だ。
 デジタルグリッド最高経営責任者(CEO)の秋田智司氏は、なぜこの場所で事業を立ち上げたのか。先行して市場開拓したケニアで失敗したWASSHAサービスは、なぜタンザニアで成功したのか? 秋田氏に低所得者向けの「ベース・オブ・ピラミッド(BOP)」ビジネスを成功に導く核心を聞いた。

(取材・文=荻島央江 インタビュー写真=小川拓洋)


■アフリカの無電化地域に電気を届ける「WASSHA」ビジネスで新風!~デジタルグリッドの挑戦(前編)

デモ用に日本のオフィスに再現したアフリカのキオスク(日用雑貨店)の前で。デジタルグリッドの秋田智司CEO
クリックすると拡大した画像が開きます

NGOのワークショップ参加がきっかけに

 アフリカ・タンザニアの無電化地域。デジタルグリッドはここでWASSHAというユニークな「電気量り売り」サービスを展開する。そのCEOである秋田氏がアフリカに関心を持ったのは高校時代だ。平和な日常が続く日本の生活とは対極にある世界の紛争に興味を持ち、問題解決に関わりたいと考え始めた。当時、アフリカは世界有数の紛争多発地域だった。

 大学生になると、非政府組織(NGO)が主催するタンザニア・キリマンジャロの植林ワークキャンプに参加。現地の人々とともに作業をする中で、「いつかこの人たちと一緒にビジネスができたら面白いな」と思ったのが、今につながる一番の原体験だという。

 だが大学卒業後、外資系コンサルティング会社を経て起業したのはバングラデシュ。「バングラデシュに強いコネクションを持つ友人がいて、その人脈を使わせてもらおう」と考えたからだ。それを頼みに低所得層向け保育事業を手掛けるも、わずか1年足らずで頓挫してしまう。

 やむなく再びコンサルタントに戻ったとき、営業先で出会ったのが「デジタルグリッド」の開発者、東京大学大学院・阿部力也特任教授だった。

Next全世界12億人の無電化地域に電気を届ける