国内製造シェア9割以上を誇る眼鏡フレームの一大生産地として知られる福井県鯖江市。数百の関連企業があるなかで、眼鏡の部品メーカーから、より大きな資本や技術力が必要な総合部品メーカーへ、さらにそれらを組立て、完成品として製造販売する一貫眼鏡フレームメーカーに躍進した企業が、シャルマンだ。伝統的な商習慣が存在する眼鏡業界で、直販や海外販売など、挑戦に次ぐ挑戦で目を見張る成長を成し遂げてきた。
 2009年には、約8年の歳月をかけて開発した新素材「エクセレンスチタン」で作った眼鏡フレーム「LineArt CHARMANT」を発売。2016年にノーベル医学生理学賞を受賞した東京工業大学の大隈良典栄誉教授が愛用していたことでも注目が集まった。現在は、眼鏡フレームの製造で培った技術を生かして、医療やウエアラブルデバイス業界の製品開発にも乗り出している。同社の変革者としての秘密を探る。

(取材・文=藤原達矢<アバンギャルド>、取材写真=山岸政仁)


最先端のチタン技術を投入して完成させた「LineArt CHARMANT」
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スタートは「リベット鋲」の部品メーカー

シャルマンの出発点となったリベット鋲
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 いまや世界を席巻する眼鏡フレームの総合メーカー、シャルマン。だが、200億円企業の出発点は、1個1円の「リベット鋲」を製造する、福井県鯖江市の小さな町工場だった。

 リベット鋲とは、当時主流だったセルロイド製眼鏡の金具とフレームをつなぐ部品だ。1956年、現在は会長を務める堀川馨氏の兄が堀川製作所を設立して生産を開始。その後、「芯金(しんがね)」の製造にも着手する。

「プラスチックフレームに使用する部品は、『リベット鋲』『芯金』『蝶番(ちょうつがい)』の3種類があります。もっとも技術が不要、かつ少ない資本で始められるのが、リベット鋲です。蝶番は製造に必要な機械が数千万円かかるという理由で、手を出していませんでした」と堀川会長は当時を振り返る。

 堀川会長は大学卒業後、愛知県の繊維商社に勤めていたが、1961年に兄の求めに応じて堀川製作所に入社。その後、病で倒れた兄の跡を継ぎ、1968年、社長に就任する。

Nextメタルフレームの登場を転機に総合部品メーカーに