今や80歳以上の高齢者の人口が1000万人を超える日本。厚生労働省所属の機関である国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2035年には「3人に1人が高齢者」といわれている。それに伴い深刻化しているのが介護問題だ。中でも「排泄」は介護者にとっても要介護者にとっても最も大きな負担となっている。

 そうした中、排泄を予知するウェアラブルデバイス「DFree(ディーフリー)」の開発で、世界30カ国以上から問い合わせが相次いでいる日本のベンチャー企業がトリプル・ダブリュー・ジャパンだ。介護現場に変革をもたらすDFreeの特徴と、開発の裏側について前・後編の2回にわたってお届けする。

おむつからの解放

 「一般的な介護施設では、介護職員は8時間の勤務時間のうちの約3時間を排泄介助に費やしているといいます。我々が2015年8月から実施してきた介護施設での実証試験からは、排泄予知デバイス『DFree』が、介護職員の負担の約30%を、また、要介護者1人につき月平均1万円程度かかっているといわれるおむつ代の約50%を削減できることがわかりました」

 こう語るのはトリプル・ダブリュー・ジャパンの中西敦士代表取締役だ。

トリプル・ダブリュー・ジャパンの中西敦士代表取締役

 トリプル・ダブリュー・ジャパンは、東京・渋谷にオフィスを構える2015年2月創設のベンチャー企業。2014年5月に中西氏が、留学先の米国カリフォルニア州・バークレーで、わずか7万円で設立した法人が原点だ。

 同社が開発した「DFree」とは、下腹部に装着することで膀胱や直腸の状態をセンシングして、排泄のタイミングをスマートフォンなどに知らせてくれるというウェアラブルデバイスだ。

 「簡単に言えば、おしっこやうんこが出るまでの時間を予測して知らせてくれるという装置で、Dはおむつを意味するDiaperの頭文字です。従って、DFreeには、『あらかじめ、排泄のタイミングを知ることでお漏らしを回避し、おむつから自由になろう』という思いが込められています。それにより、『世界中の人々が健康で尊厳ある日々を送れる社会を創造しよう』というのがトリプル・ダブリュー・ジャパンのビジョンです」と中西氏は語る。

 DFreeには、尿検知タイプと便検知タイプの2種類があり、現在のところ尿検知タイプのみ開発が完了している。介護施設での実証試験を経た後、提供が開始されるという。一方、便検知タイプは現在開発中で、2017年内の提供にめどを付けたとのこと。

 尿検知タイプも便検知タイプも基本的な仕組みは同じだ。見た目は、マッチ箱ほどの大きさのデバイスが2個つながった形をしている。1つはセンサー部で、この中には超音波センサーが内蔵されている。もう1つは本体部で、この中にはバッテリーとBluetoothのアンテナが収められている。重さは合計約70グラムほどだ。

センサー部と本体部で構成される「DFree」。導入するには、本体価格に加え、月々のサービス料が必要。まずは介護施設への提供を想定しているが、個人への提供も視野に入れているとのこと
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