「腸内フローラ」という言葉をテレビや雑誌で見聞きする機会が増え、飲料各社から乳酸菌飲料の新製品が次々と発売されていることから分かるように、現在、「腸内環境」に熱い視線が送られている。この分野に関し、健康面のみならず、アスリートのパフォーマンス向上やコンディション維持に結びつけようとする企業が、AuB(オーブ)だ。CEOはかつてJリーグの浦和レッズで活躍したフットボーラー、鈴木啓太氏。起業の背景、事業の方向性、腸内環境解析の可能性などについて、鈴木氏に話を聞いた。

ヒトの性格にまで影響を及ぼす、腸内菌の神秘

 「第二の脳」とも呼ばれる腸内にはヒト一人あたり、約100兆個、数百種類もの細菌が生息している。こうした腸内細菌の生態系は腸内フローラとも称され、人体に多大な影響を及ぼしていることが分かり、近年、大きな注目が集まっている。膨大な菌類は善玉、悪玉、日和見と大別されることも多いが、必ずしも善玉菌だけが良い影響をもたらすというわけでもない。菌は単独でも消化吸収、脂質代謝、免疫力活性など、様々な力を発揮するが、異なる菌種と関係し合うことでも人体に有益な効果をもたらす。要は善玉、悪玉、日和見の適度なバランスが健康にとっては肝要ということになる。

 腸内環境が人体に及ぼすのは、消化や代謝機能に関わる影響だけではない。腸は膨大な神経細胞によって脳とも密接にやりとりを行い、腸内細菌がヒトの性格や気分、脳そのもののパフォーマンスにも影響を与えることが、徐々に分かってきたのだ。そこで近年、医学界で注目されているのが、人為的に腸内環境を改善し、ヒトの心身をよりよい方向へ導く、という試みだ。このような研究が実用化にこぎつければ、腸内環境の改善によってガンの予防や自閉症やうつ病の治療など、これまで難しかった様々な診療分野に光明が指すとさえ、言われている。

腸内環境への注目が集まっている(イラスト:PIXTA)

Next腸内菌の解析情報を、パフォーマンスのバロメーター…